• 6月 19, 2026

呼吸器疾患がある方の熱中症リスクと対策|横浜の呼吸器専門医が解説

「水分をしっかり摂っているつもりなのに、夏になると体調を崩しやすい」——呼吸器疾患をお持ちの方から、こうしたご相談を受けることがあります。

実は、喘息やCOPDなどの呼吸器疾患がある方は、熱中症のリスクが一般の方より高くなる場合があります。

この記事では、呼吸器疾患がある方が夏に注意すべき熱中症リスクと、日常的にできる対策を解説します。

呼吸からの水分喪失と脱水
喘息やCOPDの発作時・増悪時は呼吸数が増え、呼気(吐く息)からの不感蒸泄(水分喪失)が増えます。発汗による喪失と重なると脱水が進み、熱中症のリスクとなる訳です。

呼吸仕事量の増加による熱産生
気道が狭くなった状態で呼吸を続けると、呼吸筋が激しく働き、運動時と同様に体内で熱が産生されます。暑熱環境では、この余分な熱を逃がしきれず体温が上がりやすくなります。

こまめな補給が基本
喉が渇いたと感じる前に、15〜20分おきに少量ずつ水分を摂ることが重要です。高齢の方は口渇感が鈍くなりやすいため、時間を決めて飲む習慣をつけることをお勧めします。

スポーツドリンクと経口補水液をうまく使いましょう
大量に汗をかいた場合は、水だけでなく塩分・電解質の補給も必要です。通常の水分補給にはスポーツドリンクを薄めたものや麦茶が適しています。熱中症の症状が出始めた場合は、塩分濃度が体素性と近い経口補水液(OS-1など)が有効です。※糖尿病の持病がある人はスポーツドリンクの飲み過ぎは高血糖のリスクとなるため注意が必要です。

カフェイン・アルコールに注意
コーヒー・アルコールは利尿作用があり、かえって脱水を招くことがあります。夏場は摂取量に注意が必要です。

心不全・腎疾患を合併している方は相談を
COPDに心不全や腎疾患を合併している方は、水分摂取量に制限が設けられているケースがあります。「たくさん飲んでいいのか不安」という方は、主治医に適切な水分量を確認してください。

吸入薬は暑い場所に放置しない
エアー製剤の吸入機は(pMDI)高温環境に弱く、直射日光や車内など40℃を超える場所に放置すると薬剤が変質したり容器が破損したりするリスクがあります。

外出時間の調整
気温が高くなる10〜15時は屋外での活動を控えることが基本です。屋外での用事は早朝か夕方以降に済ませるよう計画しましょう。

冷房の適切な使用
室内でも熱中症は起こります。就寝中は28℃以下に設定し、タイマーを使わずに冷房をつけたままにすることを推奨します。ただし、冷房による急激な温度差は気道刺激になることがあるため、設定温度と外気温の差は5〜6℃以内が目安です。

夏の環境対策や水分補給はもちろん重要ですが、呼吸器疾患がある方にとっては、日頃のコントローラー(長期管理薬)吸入薬を夏でも継続し発作をなるべく起こさせないようにすることも大切な要素です。

「症状が落ち着いているから」という理由でコントローラーの使用を中断してしまう方が、夏場に増える傾向があります(冬場は風邪の流行や乾燥から薬の使用を夏場よりしっかりと使ってくださる方が多いです)。

⚠ 呼吸器疾患がある方は特にご注意を
・めまい・ふらつき・頭痛が続く
・いつもより息苦しさが強い
・吸入薬を使っても症状が改善しない
・体温が38℃以上になった
・水分を摂っても改善しない倦怠感がある
・意識がぼんやりする・呼びかけに反応が鈍い(すぐに救急へ)

喘息があると熱中症になりやすいですか?

喘息・COPDなどの呼吸器疾患のコントロール状況が悪い方は一般の方より注意が必要です。今一度自身の状態、治療の状態を確認してください。

吸入薬は夏でもそのまま携帯していいですか?

エアー製剤(pMDI)は高温に弱いため、直射日光や車内など40℃を超える環境への放置は避けてください。高温環境での携帯時は保冷バッグなどに入れて管理することをお勧めします。

横浜で呼吸器疾患と熱中症を一緒に診てもらえますか?

横浜フロントクリニックでは、呼吸器専門診療と一般内科(熱中症・脱水の診察・点滴)を一体で対応しています。横浜駅西口から徒歩圏内です。

井上 哲兵(いのうえ・てっぺい)

医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医

2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。現在は3院の呼吸器医専門クリニックを要するフロントクリニックグループを運営。

フロントクリニックグループ一覧

【保有資格・所属学会】

  • 難病指定医(呼吸器)
  • 緩和ケア研修会修了医
  • 医学博士
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
  • 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • 厚生労働省認定 臨床研修指導医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)

参考資料

  • 環境省・厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」
  • 日本アレルギー学会『喘息予防・管理ガイドライン2024』
  • 日本呼吸器学会『COPD診断と治療のためのガイドライン2022』
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