- 7月 25, 2026
禁煙外来とは?自力との違い・保険適用の条件を横浜の呼吸器専門医が解説
「たばこをやめたいと思っているが、自分の意志だけではなかなかやめられない」「禁煙外来というものがあるのは知っているが、どんなことをするのか、費用はどのくらいかかるのかわからない」——そんな方やご家族に向けて、禁煙外来の実際をお伝えします。
まずお伝えしたいことは、喫煙は肺がん・COPD(慢性閉塞性肺疾患)・喘息の悪化・心筋梗塞・脳卒中など、多くの疾患の重大なリスク因子です。
禁煙は「意志の問題」ではなく、ニコチン依存症という疾患の治療です。適切なサポートを受けることで、自力での禁煙と比べて成功率が大きく上がることがわかっています。
なぜ自力での禁煙は難しいのか
たばこに含まれるニコチンは、脳内のドーパミン分泌を刺激して快感をもたらします。繰り返し喫煙することで脳がニコチンに依存した状態になり、たばこを吸わないと不快感・イライラ・集中力低下などの離脱症状が現れます。
これは「やめようと思えばやめられるはず」という意志の問題ではなく、ニコチン依存症という疾患の症状です。自力での禁煙成功率は約3〜5%とされており、多くの方が何度も試みては失敗を繰り返します。禁煙外来では薬物療法と行動療法を組み合わせることで、この離脱症状を和らげながら禁煙をサポートします。
禁煙外来で行うこと
初診・問診・依存度チェック
喫煙歴・1日の喫煙本数・これまでの禁煙歴・禁煙の動機などを確認します。TDS(ニコチン依存度テスト)でニコチン依存の程度を評価し、保険適用の条件を満たすかどうかを確認します。
治療薬の選択
主に2種類の治療薬が使われます。
バレニクリン(チャンピックス)
脳内のニコチン受容体に作用し、喫煙による満足感を抑えながら離脱症状を和らげる飲み薬。禁煙補助薬の中で最も成功率が高いとされています。吐き気などの副作用が出ることがあるため、食後に服用することが推奨されます。
ニコチン代替療法(ニコチンパッチ・ニコチンガム)
皮膚や口腔粘膜からニコチンを補給することで離脱症状を和らげる方法。バレニクリンが使いにくい方(妊娠中・特定の既往歴がある方など)に用いられます。
定期的なフォローアップ
禁煙開始日を設定し、2週間後・4週間後・8週間後・12週間後の計4〜5回の通院でサポートします。禁煙の進捗確認・離脱症状への対処・再喫煙した場合の立て直しなどを行います。
保険適用の条件
禁煙外来は条件を満たす場合、保険適用(3割負担)で治療を受けられます。主な条件は以下の通りです。
- ニコチン依存症に係るスクリーニングテストでニコチン依存症と診断された方(10点中5点以上)
- 35歳以上の者については、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が、200以上である方
- ただちに禁煙することを希望している方であって、「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方
※2016年4月から、34歳以下に対しては、(2)の喫煙本数と喫煙年数による指数の条件が撤廃されました。
これらの条件を満たさない場合でも、自費診療として禁煙外来を受けることは可能です。
費用の目安
保険適用の場合、3割負担で12週間の治療全体を通じて1〜2万円程度が目安です(薬剤費込み)。自力での禁煙に何度も失敗している方にとって、この費用はたばこ代と比較すると非常に少額です。
なお、保険適用での禁煙治療は前回の治療終了から1年以上経過していれば再度受けることができます。「以前に禁煙外来を受けたが再喫煙してしまった」という方も、改めて受診することが可能です。
禁煙が呼吸器疾患に与える影響
喘息・COPDがある方にとって、禁煙は治療の中で最も重要な介入のひとつです。

喘息
喫煙は気道の炎症を悪化させ、吸入ステロイドの効果を低下させることが知られています。禁煙することで吸入薬の効果が改善し、発作頻度の低下が期待できます。
COPD
COPDの進行を遅らせる最も有効な手段は禁煙です。禁煙後は肺機能の低下速度が遅くなり、急性増悪のリスクも低下します。すでにCOPDと診断されている方こそ、禁煙外来を活用してほしいと考えています。
横浜フロントクリニックで対応できること
- 禁煙外来(保険適用・自費):ニコチン依存度の評価から治療薬の処方・フォローアップまで一貫して対応
- 呼吸器専門医による診察:喘息・COPDがある方の禁煙をより専門的にサポート
- 呼吸機能検査・FeNO:禁煙前後の気道の変化を数値で確認
「何度も失敗してきたけれど、もう一度チャレンジしたい」という方も、お気軽にご相談ください。
受診の目安・タイミング
⚠ こんな方はご相談ください
・たばこをやめたいが自力では続かなかった
・喘息・COPDがあり、禁煙が必要と言われている
・健診で肺機能の低下を指摘された
・以前禁煙外来を受けたが再喫煙してしまった
・家族のためにたばこをやめたいと思っている
よくある質問
禁煙外来は保険適用で受けられますか?
条件を満たす場合、保険適用(3割負担)で受けられます。主な条件はTDSスコア5点以上・ブリンクマン指数200以上(または35歳未満)・直ちに禁煙を希望していることなどです。詳しくは受診時にご確認ください。
禁煙外来は何回通院が必要ですか?
標準的な治療は12週間で4〜5回の通院です。禁煙開始日の設定・2週間後・4週間後・8週間後・12週間後の受診でサポートします。
以前禁煙外来で失敗しましたが、また受診できますか?
前回の治療終了から1年以上経過していれば、保険適用で再度受けることができます。何度失敗しても諦める必要はありません。再チャレンジをサポートします。
横浜で禁煙外来を受けられるクリニックはありますか?
横浜フロントクリニックでは保険適用・自費での禁煙外来に対応しています。呼吸器専門医が担当するため、喘息・COPDがある方も安心してご相談いただけます。横浜駅西口から徒歩圏内です。
横浜フロントクリニックでは旅行前の受診・吸入薬の処方補充に対応しています。コントロール状態の確認・緊急時対処薬の相談もあわせて行えます。お盆前は混み合うため、出発の1〜2週間前のご受診をお勧めします。

執筆者情報
井上 哲兵(いのうえ・てっぺい)
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。現在は3院の呼吸器医専門クリニックを要するフロントクリニックグループを運営。
フロントクリニックグループ一覧
- 三浦メディカルクリニック
- 横浜フロントクリニック
- 東京品川フロントクリニック
- 自由が丘フロントクリニック(2026年10月開院予定)
- 新宿区分院(2027年12月開院予定)
【保有資格・所属学会】
- 難病指定医(呼吸器)
- 緩和ケア研修会修了医
- 医学博士
- 日本内科学会認定内科医
- 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
- 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
- 日本医師会認定産業医
- 厚生労働省認定 臨床研修指導医
- 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
参考資料
- 日本呼吸器学会・日本循環器学会『禁煙治療のための標準手順書 第9版』
- 日本アレルギー学会『喘息予防・管理ガイドライン2024』
- 厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」