- 7月 4, 2026
間質性肺炎とは?喘息・COPDとの違いを横浜の呼吸器専門医が解説

※このCT画像は患者様のものではありません。AIによって作成した画像になります。凄い時代になりましたね。
「息切れが続いているのに、喘息・COPDの検査では異常がないと言われた」——こうした経験をお持ちの方が、間質性肺炎という疾患にたどり着くことがあります。
間質性肺炎は、喘息やCOPDと並ぶ重要な呼吸器疾患ですが、一般的な知名度はまだ低く、症状が似ているために診断が遅れることもあります。この記事では、間質性肺炎とは何か、喘息・COPDとどう違うのかを解説します。
間質性肺炎とは何か
肺の中には、酸素と二酸化炭素のガス交換を行う「肺胞」という小さな袋が無数にあります。肺胞の壁やその周囲の組織を「間質」と呼びます。間質性肺炎とは、この間質に炎症や線維化が起き、肺が硬くなって酸素を取り込みにくくなる病気の総称です。
原因はさまざまで、原因が特定できない「特発性間質性肺炎」、膠原病(関節リウマチ・強皮症など)に伴う二次性のもの、喫煙・薬剤・職業性粉塵・カビ・白血球の中の好酸球などが原因のものなど、多くの種類があります。
喘息・COPDと何が違うのか
喘息・COPD・間質性肺炎はいずれも息切れや咳を主な症状としますが、病態・原因・治療法が大きく異なります。

喘息
気道の慢性的な炎症により、気道が狭くなる病気。ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴が特徴。吸入薬で気道を広げることで症状が改善する(可逆性)。タイプ2炎症・FeNOが診断に有用。
COPD
主に喫煙により気道・肺胞が破壊される病気。気流閉塞が不可逆的に進行する。スパイロメトリーで気流閉塞を確認。吸入薬・禁煙・リハビリが治療の柱。
間質性肺炎
肺胞壁・間質の炎症・線維化により肺が硬くなる病気。乾いた咳・労作時の息切れが特徴。喘鳴はほとんどない。スパイロメトリーでは肺活量が低下する状態(拘束性換気障害)を示し、CTで特徴的な所見が見られる。
間質性肺炎の特徴的な点は、気道ではなく「肺の組織そのもの」が障害されるという点です。そのため、気道を広げる吸入薬はほぼほぼ効果がなく、治療アプローチが全く異なります。
間質性肺炎の主な症状
初期は症状が乏しく、健診の胸部レントゲンで偶然見つかることもあります。症状が出始めると以下のようなものが現れます。
- 労作時の息切れ:階段を上がる・速足で歩くなど、体を動かしたときに息切れを感じる。進行すると安静時にも出現する
- 乾いた咳:痰を伴わない、から咳が続く。喘息のような喘鳴はない
- ばち指:進行例では指先が太鼓のバチのように膨らむことがある
- 捻髪音:聴診器で「パリパリ・ブツブツ」という音が聞こえる(医師が発見するサイン)
「歳のせいで息が上がりやすくなった」と放置してしまうケースが多いため、労作時の息切れが進行している場合は早めに専門医を受診することが重要です。
なぜ早期発見・専門医への受診が重要なのか
間質性肺炎のなかには、放置すると不可逆的に進行し、肺機能が低下し続けます。早期に診断して抗線維化薬による治療を開始することで、進行を遅らせることが期待できる種類(特発性肺繊維症)もあります。

また、原因が特定できる間質性肺炎(薬剤性・過敏性肺炎など)では、原因を除去することが最も重要な治療になります。「どの薬が原因か」「どの環境因子が関わっているか」を正確に評価するためには、詳細な問診と専門的な検査が必要です。
さらに、間質性肺炎は急性増悪(急激な悪化)を起こすことがあり、感染症・手術・薬剤が引き金になることがあります。当法人の症例では新型コロナウィルス感染症が原因となった間質性肺炎急性増悪を何例も経験しています。定期的な専門医の診察の際に、年齢、季節などに合わせた増悪リスクを少しでも抑えるための相談を行っていくことが大切です。
診断にはどんな検査が必要か
胸部CT・胸部レントゲン検査
間質性肺炎の診断に最も重要な検査です。「すりガラス影」「蜂巣肺」「牽引性気管支拡張」など、病型によって特徴的な所見が現れます。通常のレントゲンでは見逃されることもあるため、CTによる精密な評価が欠かせません。胸部レントゲンでは初期の間質性肺炎はまず発見できません。進行した間質性肺炎はレントゲンでも、存在の有無程度はわかりますが、CTほどの情報が得られることはまずありません。検査・診断・治療を行う上でレントゲンだけで評価を行なっていくことはとても危険な行為です。
スパイロメトリー(呼吸機能検査)
間質性肺炎では「拘束性換気障害」(肺活量の低下)が見られます。喘息・COPDの「閉塞性換気障害」とは異なるパターンで、鑑別に役立ちます。
血液検査
KL-6・SP-D(間質性肺炎の活動性を示すマーカー)・膠原病関連の抗体検査などを行います。
気管支鏡検査
必要に応じて、専門医療機関で気管支肺胞洗浄(BAL)や経気管支肺生検を行うことがあります。
横浜フロントクリニックで対応できること
- 胸部CT(当日撮影・読影):間質性肺炎の診断に必須のCT検査を当日完結
- スパイロメトリー(呼吸機能検査):拘束性・閉塞性換気障害の鑑別
- 血液検査:KL-6・SP-D・膠原病関連抗体など
- FeNO(呼気NO検査):喘息との鑑別に有用
- 専門医による総合評価:呼吸器専門医30名規模のグループ体制で、診断の精度と一貫性を担保
「喘息と言われたが治療効果が乏しい」「COPDとは言われたが何か違う気がする」という方のセカンドオピニオンも受け付けています。
受診の目安・タイミング
⚠ こんな方は一度ご受診を
・階段や坂道で以前より息切れしやすくなった
・乾いた咳が3週間以上続いている
・健診の胸部レントゲンで「異常あり」と指摘された
・関節リウマチ・強皮症などの膠原病がある
・長期間服用している薬がある
・喘息・COPDの治療を受けているが症状が改善しない
よくある質問
間質性肺炎と喘息は同時にかかることがありますか?
あります。喘息と間質性肺炎は異なる病態ですが、合併することがあります。症状が似ているため、正確な鑑別には胸部CT・呼吸機能検査・FeNOなど複数の検査を組み合わせた専門的な評価が必要です。
間質性肺炎は治りますか?
原因によって異なります。薬剤性・過敏性肺炎など原因が特定できるものは、一時的な免疫抑制剤投与や原因除去により改善が期待できるケースがあります。一方、特発性肺線維症(IPF)は現時点では根治が難しく、進行を遅らせることが治療目標となります。早期発見・早期治療が重要です。
健診で「肺に影」と言われましたが間質性肺炎ですか?
健診のレントゲンでの「肺の影」は、間質性肺炎の他にも肺炎・肺がん・結核・良性腫瘍など多くの可能性があります。胸部CTによる精密検査で鑑別する必要があります。放置せず専門医を受診してください。
横浜で間質性肺炎を診てもらえるクリニックはありますか?
横浜フロントクリニックでは、呼吸器専門医による間質性肺炎の評価・診断に対応しています。当日CT・呼吸機能検査・血液検査を組み合わせた精密評価が可能です。横浜駅西口から徒歩圏内です。

執筆者情報
井上 哲兵(いのうえ・てっぺい)
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。現在は3院の呼吸器医専門クリニックを要するフロントクリニックグループを運営。
フロントクリニックグループ一覧
- 三浦メディカルクリニック
- 横浜フロントクリニック
- 東京品川フロントクリニック
- 自由が丘フロントクリニック(2026年10月開院予定)
- 新宿区分院(2027年12月開院予定)
【保有資格・所属学会】
- 難病指定医(呼吸器)
- 緩和ケア研修会修了医
- 医学博士
- 日本内科学会認定内科医
- 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
- 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
- 日本医師会認定産業医
- 厚生労働省認定 臨床研修指導医
- 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
参考資料
- 日本呼吸器学会『特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き 改訂第4版』
- 厚生労働省「特発性肺線維症(指定難病108)」
- Global Initiative for Fibrosis (GIF) 2023