- 8月 1, 2026
横浜で喘息をお持ちの方へ|花火・お線香の煙で症状が悪化するときの対策
煙は喘息の気道にとって強い刺激になります。種類や量によって影響は異なりますが、適切な対策を知っておくことで、夏の行事を無理なく楽しめる可能性が高まります。この記事では、花火・手持ち花火・お線香の煙が喘息に与える影響と、具体的な対策を解説します。
なぜ煙は喘息の気道に影響するのか
喘息の気道は慢性的な炎症があり、健康な人と比べて外からの刺激に対して過敏な状態にあります。この状態を「気道過敏性」と呼びます。
煙の中には、微細な粒子状物質(PM)・一酸化炭素・刺激性ガス・化学物質などが含まれています。これらが気道に吸い込まれると、気道の粘膜が刺激を受けて炎症が強まり、気管支が収縮して息苦しさや咳・喘鳴(ゼーゼー)が引き起こされます。
喘息の方は、健康な人では問題にならない少量の煙でも症状が出ることがあります。また、煙による刺激は気道の炎症を悪化させるため、その後数日間にわたって症状が続くこともあります。
花火大会の煙と喘息

打ち上げ花火の煙には、火薬に含まれる硫黄・カリウム・炭素などの燃焼生成物が含まれています。大規模な花火大会では大量の煙が短時間に発生するため、喘息をお持ちの方には刺激が強い環境になります。
また、花火大会は以下のような複合的なリスクが重なる場面でもあります。
- 気温差:昼間の暑さから夜の涼しさへの急激な気温変化が気道を刺激する。
- 人混み:密集した人混みでの感染症や受動喫煙のリスク
- 長時間の屋外滞在:疲労や心的ストレスが重なりやすい
- PM2.5・花粉:夏でも飛散している粒子状物質と煙が重なる
花火大会に行く場合の対策
煙の流れを確認して風上側に位置取りをすること。風の流れが変わり、煙を感じ気道が狭くなる感覚が少しでもしたら、大変かもしれませんが場所を移動することも選択肢として考えてください。またコントローラーの吸入を花火大会の前後も欠かさず継続することも重要です。
手持ち花火の煙と喘息

手持ち花火は打ち上げ花火に比べて規模は小さいですが、近距離で長時間にわたり濃い煙を吸い込む可能性があるという点で、喘息の方には注意が必要です。とくに複数人が同時に手持ち花火をしている状況では、周囲に煙が充満しやすくなります。
手持ち花火をする場合の対策
風通しの良い場所で行うこと、煙が自分の方向に流れてきたときはすぐに距離を取ることが重要です。喘息の症状が不安定な時期は、手持ち花火そのものを控えることも選択肢のひとつです。子どもに喘息がある場合は、大人が状態を観察しながら行ってください。
お線香の煙と喘息

お盆のお墓参りや自宅での仏壇参りで焚くお線香の煙も、喘息の気道には刺激になることがあります。お線香の煙には微粒子・一酸化炭素・揮発性有機化合物(VOC)などが含まれており、密閉された室内での長時間の暴露は特に影響が出やすいとされています。
「お墓参りのたびに咳が出る」「仏壇の前にいると息苦しくなる」という方は、お線香の煙が引き金になっている可能性があります。
お線香の煙への対策
- 屋外のお墓参りでは風上に立ち、煙が直接当たらないよう位置取りをする
- 室内の仏壇では換気を十分に行い、お線香を立てる本数を減らす
- 煙の少ないタイプのお線香(低煙タイプ)に変える選択肢もある
故人を偲ぶ大切な行事ですので完全に避けることは難しいですが、できる範囲で工夫することで影響を軽減できます。
煙以外の夏の喘息悪化要因にも注意
夏は煙以外にも喘息が悪化しやすい要因が重なります。
気温・気圧の変化
夏から秋にかけての気温差・低気圧の通過が気道を刺激します。「天気が変わると症状が出やすい」という方は、気圧の変動にも注意してください。
室内外の温度差
冷房の効いた室内から高温の屋外に出る瞬間の温度差が気道に刺激を与えます。冷房の設定温度を外気温との差が5〜6℃以内になるよう調整することが助けになります。ただし、外気温があまりにも高い場合はその範囲内での調整では熱中症のリスクを上昇させる可能性もあり注意が必要です。
夏の感染症
夏風邪・エンテロウイルス感染は喘息の急性増悪の引き金になります。人混みでの感染予防と、感染した場合の早めの受診が重要です。
症状が出た・悪化したときの対処
花火やお線香の煙に触れた後、以下の症状が出た場合は速やかに対処してください。
- まず涼しく風通しの良い場所に移動する
- 発作止め薬(短時間作用型β2刺激薬)を吸入する
- 吸入後20〜30分経っても改善しない場合は医療機関を受診する
- 呼吸が非常に苦しいと感じる場合は救急要請を検討する
「煙に触れてから症状が数日間続く」「いつもよりコントローラーを使う回数が増えた」という場合は、気道の炎症が悪化している可能性があります。早めに呼吸器専門外来を受診して薬の調整を行ってください。
なぜ専門医への受診が重要なのか
「毎年この時期に悪化する」という状況が当たり前になってしまっている方は、現在の治療が気道炎症を十分に抑えられていない可能性があります。
FeNO(呼気NO検査)などの呼吸器系検査を行うことで気道炎症の程度や状態を確認し、吸入薬の種類・量が現状に合っているかを評価することで、夏の行事も安心して楽しめるコントロール状態を目指すことができます。
横浜フロントクリニックで対応できること

- FeNO(呼気NO検査):気道炎症の程度を数値で確認。夏前後の状態変化を評価
- スパイロメトリー(呼吸機能検査):気道の状態を客観的に把握
- 吸入薬の調整:症状・炎症の程度に合わせた治療薬の最適化
- 生物学的製剤の導入:重症喘息で標準治療では対応が難しい方への対応
受診の目安・タイミング
こんな方はご受診をお勧めします
・花火やお線香の煙で咳・息苦しさが出るようになった
・毎年この時期に喘息が悪化する
・発作止め薬を使う頻度が増えてきた
・コントローラーを続けているのに症状が落ち着かない
・今年の夏は花火大会やお盆行事を安心して楽しみたい
よくある質問
花火大会に行っても大丈夫ですか?
喘息がコントロールされている状態であれば、対策をしたうえで参加することは可能です。風上に位置取りをする・風向きの変化で煙が濃くなったら早めに離れるといった対策を心がけてください。コントロール不良の状態での参加はリスクが高まりますので参加を取りやめることも検討ください。万が一、花火会場で大発作になってしまい救急要請したとしても、救急車が10分以内には来ない可能性が高いです。
お線香の煙を完全に避けることはできませんが、どうすればいいですか?
低煙タイプのお線香への変更・換気の徹底などで影響を軽減できます。どうしても避けられない場合は、事前に発作止め薬を携帯しておき、症状が出たらすぐに使用できる準備をしてください。
花火のあとに咳が数日続いています。受診すべきですか?
煙への暴露後に咳が数日続く場合は、気道の炎症が悪化している可能性があります。コントローラーを継続しながら早めに受診し、FeNOや呼吸機能検査で現在の状態を確認することをお勧めします。
横浜で喘息の専門的な治療を受けられますか?
横浜フロントクリニックでは呼吸器専門医による喘息の診察・FeNO・呼吸機能検査・吸入薬の調整・生物学的製剤の処方まで対応しています。横浜駅西口から徒歩圏内です。

執筆者情報
井上 哲兵(いのうえ・てっぺい)
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。現在は3院の呼吸器医専門クリニックを要するフロントクリニックグループを運営。
フロントクリニックグループ一覧
- 三浦メディカルクリニック
- 横浜フロントクリニック
- 東京品川フロントクリニック
- 自由が丘フロントクリニック(2026年10月開院予定)
- 新宿区分院(2027年12月開院予定)
【保有資格・所属学会】
- 難病指定医(呼吸器)
- 緩和ケア研修会修了医
- 医学博士
- 日本内科学会認定内科医
- 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
- 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
- 日本医師会認定産業医
- 厚生労働省認定 臨床研修指導医
- 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
参考資料
- 日本アレルギー学会『喘息予防・管理ガイドライン2024』
- 独立行政法人環境再生保全機構「ぜん息悪化を防ぐために」
- Global Initiative for Asthma (GINA) Report 2024