- 7月 18, 2026
飛行機に乗る前に確認したい喘息・COPDの注意点|横浜の呼吸器専門医が解説

「お盆の帰省や旅行で飛行機に乗る予定があるが、喘息やCOPDがあっても大丈夫なのか不安」——呼吸器疾患をお持ちの方から、この時期によくいただく相談です。
飛行機の機内は地上とは異なる環境であり、呼吸器疾患がある方にとって注意が必要なポイントがいくつかあります。ただし、適切な準備をしておけば多くの方が安心して搭乗できます。
この記事では、飛行機に乗る前に知っておきたい機内環境の特徴と、呼吸器疾患がある方の注意点を解説します。
機内環境の特徴
低酸素環境
旅客機の機内は、地上より気圧が低い状態(高度約2,400m相当の気圧)に設定されています。地上と比べて酸素濃度が低くなるため、健康な方でも酸素飽和度が若干低下することがあります。喘息やCOPDなど呼吸機能が低下している方では、この影響がより大きく出ることがあります。
低湿度
機内の湿度は10〜20%程度と非常に低く、気道が乾燥しやすい環境です。気道の乾燥は粘膜への刺激となり、咳や気道の過敏性を高めることがあります。喘息がある方では、この乾燥が発作の引き金になることがあります。
密閉空間・再循環空気
機内は密閉された空間で、空気が循環しています。感染症が広がりやすい環境でもあるため、呼吸器疾患がある方は感染予防の観点からも注意が必要です。
喘息がある方の注意点

搭乗前に症状を安定させる
喘息がコントロール不良の状態で搭乗することは避けることをお勧めします。旅行・帰省の予定がある場合は、出発前に受診してコントロール状態を確認しておくことが安心です。
吸入薬は必ず機内持ち込み荷物に
預け入れ荷物に吸入薬を入れてしまうと、機内で必要になったときに使用できません。コントローラー・発作止め薬ともに機内持ち込みの荷物に入れてください。液体・ジェル類の持ち込みルールは航空会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
乾燥対策
機内の乾燥が気道刺激になることがあります。水分をこまめに摂る・マスクを着用するなどの対策が助けになります。
機内での発作に備える
発作止め薬(短時間作用型β2刺激薬)を必ず携帯し、いつでも取り出せる場所に置いておきましょう。症状が出た場合は早めに使用し、改善しない場合は客室乗務員に申し出てください。
COPDがある方の注意点
事前に医師への相談が必須
COPDの方は、機内の気圧変化で酸素飽和度が低下するリスクがあります。重症度によっては搭乗に際して注意が必要なケースがあります。旅行前に必ず主治医に相談し、搭乗の可否を確認してください。
機内酸素の申請
医師が必要と判断した場合、航空会社に機内酸素の事前申請を行うことができます。申請には医師の診断書・酸素使用証明書が必要なため、出発の2週間〜1か月前から準備を始めることをお勧めします。航空会社によって手続きが異なるため、利用航空会社に直接確認してください。
吸入薬・緊急薬の携帯
喘息と同様に、吸入薬はすべて機内持ち込みの荷物に入れておきましょう。急性増悪に備えた緊急時の薬(医師から処方されている場合)も忘れずに携帯してください。
旅行・帰省前に確認しておきたいこと
✈ 出発前のチェックリスト
吸入薬(コントローラー・発作止め)を十分な量用意したか
吸入薬を機内持ち込み荷物に入れたか
旅行先の医療機関を調べておいたか
かかりつけ医に旅行の予定を伝え、コントロール状態を確認したか
重症COPDの場合、機内酸素の申請手続きをしたか
旅行先の気候・大気環境(花粉・大気汚染)を確認したか
旅行先の医療機関を事前に調べておく
国内旅行であれば旅行先の呼吸器内科・内科を、海外旅行であれば現地の医療機関と旅行保険(海外旅行傷害保険)を事前に確認しておくことをお勧めします。英文の診断書・処方内容のメモを持参すると、現地での対応がスムーズになります。
なぜ旅行前の受診が重要なのか
旅行中は生活リズムの乱れ・疲労・環境変化・感染リスクの増加など、呼吸器疾患が悪化しやすい条件が重なります。「今のコントロール状態で旅行に行っても大丈夫か」を専門医に確認しておくことが、安心な旅行につながります。
吸入薬の残量確認・処方の補充・必要であれば緊急時の対処薬の準備など、旅行前に整えておくべきことを一度の受診で確認できます。
横浜フロントクリニックで対応できること
- 旅行前のコントロール確認:FeNO・スパイロメトリーで現在の気道の状態を評価
- 吸入薬の処方・補充:旅行期間分の薬を事前にご準備いただけます
- 機内酸素申請に必要な診断書の発行:COPDの方の搭乗前手続きをサポート
- 旅行先での緊急時対応薬の処方:万が一に備えた処方の相談に対応
受診の目安・タイミング
⚠ 旅行・帰省前にご受診をお勧めする方
・喘息・COPDがあり、飛行機搭乗の予定がある
・最近コントロールが不安定で症状が増えている
・吸入薬が旅行期間中に不足しそう
・重症COPDで機内酸素が必要かどうか確認したい
・旅行先での緊急時の備えについて相談したい
お盆の旅行・帰省シーズンは予約が混みやすくなります。余裕を持って出発の1〜2週間前にご受診ください。
よくある質問
喘息があっても飛行機に乗れますか?
喘息がコントロールされている状態であれば、多くの方が問題なく搭乗できます。吸入薬を機内持ち込み荷物に入れること、出発前にコントロール状態を確認しておくことが重要です。コントロール不良の状態での搭乗は避けることをお勧めします。
COPDがあっても飛行機に乗れますか?
軽症〜中等症であれば多くの場合搭乗可能ですが、重症の場合は機内の低酸素環境で酸素飽和度が大きく低下するリスクがあります。必ず搭乗前に主治医に相談し、必要であれば機内酸素の申請手続きを行ってください。
吸入薬は飛行機に持ち込めますか?
国内線・国際線ともに吸入薬の機内持ち込みは可能です。ただし液体・ジェル類の持ち込みルールは航空会社・路線によって異なります。処方箋や薬の説明書を携帯しておくとトラブルを防ぎやすくなります。
旅行前に横浜で吸入薬の処方を受けられますか?
横浜フロントクリニックでは旅行前の受診・吸入薬の処方補充に対応しています。コントロール状態の確認・緊急時対処薬の相談もあわせて行えます。お盆前は混み合うため、出発の1〜2週間前のご受診をお勧めします。

執筆者情報
井上 哲兵(いのうえ・てっぺい)
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。現在は3院の呼吸器医専門クリニックを要するフロントクリニックグループを運営。
フロントクリニックグループ一覧
- 三浦メディカルクリニック
- 横浜フロントクリニック
- 東京品川フロントクリニック
- 自由が丘フロントクリニック(2026年10月開院予定)
- 新宿区分院(2027年12月開院予定)
【保有資格・所属学会】
- 難病指定医(呼吸器)
- 緩和ケア研修会修了医
- 医学博士
- 日本内科学会認定内科医
- 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
- 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
- 日本医師会認定産業医
- 厚生労働省認定 臨床研修指導医
- 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
参考資料
- 日本アレルギー学会『喘息予防・管理ガイドライン2024』
- 日本呼吸器学会『COPD診断と治療のためのガイドライン2022』
- 国土交通省航空局「航空旅行と医療」