- 2月 9, 2026
2月は喘息のターニングポイント ― 冬から春への移行期に必要な治療調整法

「2月って、なんか調子悪くないですか?」
呼吸器診療に特化をした南州会理事長の井上です。
「日中は暖かいのに、朝は寒い」
「咳が増えてきた気がする」
「いつもの薬が効きにくい感じがする」
実は、こういう声って2月に集中するんです。
それもそのはず。2月は、喘息にとって「季節の変わり目」という厄介な時期。
冬モードから春モードへ切り替わるこの時期は、気道(空気の通り道)にとってかなり負担が大きいんですね。
今回は、「なぜ2月は喘息が悪化しやすいのか」「どう対策すればいいのか」を、できるだけわかりやすくお伝えします。
2月が喘息にとって「厄介な月」である3つの理由
① 寒暖差が激しすぎる問題
2月の横浜、日中は15度まで上がるのに、朝は5度以下なんてことも。1日で10度以上の気温差があるのって、実は気道にとってはかなりのストレスなんです。
気温が急に変わると、気道がキュッと収縮して敏感になります。これを「気温差喘息」なんて呼んだりもしますが、要するに気道が気温の変化についていけず、咳や息苦しさが出やすくなるんです。
「朝の通勤時だけ咳が出る」
「暖かい部屋から外に出ると息が苦しい」
こんな症状、ありませんか?それ、気温差のせいかもしれません。
② 乾燥と花粉の二重攻撃
「まだ2月だし、花粉はまだでしょ?」
いえいえ、実はもう飛び始めてるんです。日本気象協会の予測によれば、今年は2月上旬から九州・東海で、2月中旬には関東でもスギ花粉の飛散が始まる見込みです。
つまり2月は、「まだ空気は乾燥している」し「花粉はもう飛んでいる」という二重苦の時期。
乾燥で気道がカサカサ傷ついているところに、花粉が追い打ちをかけてくる。気道にとっては、かなり過酷な環境なんです。
③ 生活リズムが変わる時期
2月って、なんとなく生活リズムが変わる時期でもあります。
- 暖房の使い方が変わる(日中は切るけど、朝晩はまだ必要)
- 換気のタイミングが難しい(窓を開けると寒いし、花粉も気になる)
- 外出時の服装が悩ましい(朝は厚着、昼は暑い)
こういう「中途半端な季節」って、実は体にとってストレスなんです。そして、そのストレスが喘息症状として現れることもあります。
「冬モード」と「春モード」で喘息は変わる

喘息って、実は季節によって「顔」が変わるんです。
冬の喘息は、こんな感じ
- 冷たい空気で気道が刺激される
- 乾燥で気道が傷つきやすい
- 風邪やインフルエンザで悪化しやすい
春の喘息は、こんな感じ
- 花粉で気道が炎症を起こす
- 寒暖差で気道が過敏になる
- 黄砂やPM2.5の影響も受けやすい
そして、2月はまさにこの「切り替わり」の時期。冬の問題も残っているし、春の問題も始まっている。だから、気道にとっては一番大変な時期なんです。
だからこそ、この時期に治療を調整しておくことが、3月・4月を快適に過ごすカギになります。
2月にやっておくべき喘息管理のポイント
① 吸入薬の見直しタイミング
「最近調子いいから、薬減らそうかな」
ちょっと待ってください!
2月は、むしろ「調整」や「強化」を考えるべき時期です。花粉シーズンが本格化する前に、気道の状態を安定させておくことが大事なんです。
もし「最近ちょっと咳が増えたかも」「リリーバー(発作止めの吸入薬)の使用回数が増えた気がする」という場合は、吸入ステロイドの用量を見直したり、薬の種類を変更したりするタイミングかもしれません。
日本アレルギー学会の「喘息予防・管理ガイドライン2024」でも、季節の変わり目における治療の見直しの重要性が強調されています。
「ちょっと気になるかも」くらいの段階で相談していただくのが、ベストなタイミングです。
② 環境調整のコツ
朝晩の気温差対策
- 朝起きたら、すぐに暖房をつけて部屋を暖める
- 外出時は、マフラーやネックウォーマーで首元を温める(冷たい空気が直接気道に入るのを防ぐ)
- 「ちょっと暑いかな」くらいの服装を心がける
乾燥対策しつつ、花粉も意識
- 加湿器は引き続き使用(湿度50〜60%が目安)
- ただし、加湿器の掃除はこまめに
- 換気は早朝か夜間の短時間で(花粉が少ない時間帯)
寝室環境の整備
- 寝具はこまめに洗濯
- 空気清浄機があればフル活用
- 枕元に水分を置いておく(夜中に喉が乾いたときのため)
③ 生活習慣の調整
外出時の工夫
- 朝晩の外出時は、マスク着用(冷気・花粉対策の両方に有効)
- 脱ぎ着しやすい服装で体温調節
- 帰宅したら手洗い・うがい・洗顔(花粉を室内に持ち込まない)
運動のタイミング
- 屋外での運動は、気温が安定した日中がおすすめ
- 朝晩の冷え込む時間帯の運動は控えめに
- 運動前のウォーミングアップをいつもより丁寧に
体調管理の基本
- 睡眠時間はしっかり確保
- バランスの良い食事で免疫力を維持
- 疲れを感じたら無理しない
「当たり前のこと」に聞こえるかもしれませんが、この「当たり前」が2月はとくに大事なんです。
こんな症状があったら早めに相談を
✅ 朝晩だけ咳が出る
→ 気温差による気道の過敏性が高まっているサインかもしれません
✅ 天気や気温で症状が変わる
→ 環境の変化に気道が敏感に反応している可能性があります
✅ いつもの薬で効きが悪い気がする
→ 治療の見直しが必要なタイミングかもしれません
✅ 「なんとなく調子悪い」
→ この「なんとなく」が、実は大事なサインです
「これくらいで受診していいのかな?」
そう思ったら、それが受診のタイミングです。症状が悪化してから慌てるより、「ちょっと気になる」段階で相談していただくほうが、ずっと楽に対処できます。
呼吸器専門医からのメッセージ
2月は、喘息管理における「予防的な治療調整」のベストタイミングです。
「症状が出てから対処する」のではなく、「症状が出る前に手を打つ」。これが、3月・4月を快適に過ごすための秘訣です。
環境省の「花粉症環境保健マニュアル2022」でも、花粉飛散開始前からの対策開始が推奨されています。喘息の場合も同じで、早めの準備が何より大切なんです。
遠慮なく主治医にご相談ください。
まとめ:今が準備の時期です
2月は、喘息管理のターニングポイント。
- 冬と春の「はざま」で気道が不安定になりやすい
- 花粉シーズン前に治療を調整しておくことが大事
- 「ちょっと気になる」が受診のタイミング
「まだ大丈夫」と思っているうちに準備しておくことが、結果的に一番ラクなんです。
フロントクリニックグループでは、患者さん一人ひとりの生活スタイルや症状に合わせた治療をご提案しています。「この時期、いつも調子が悪いんだよね」という方こそ、今のうちにご相談ください。
一緒に、快適な春を迎える準備をしましょう。
参考文献:
- 日本気象協会「2026年 春の花粉飛散予測(第3報)」2026年1月15日
- 環境省「花粉症環境保健マニュアル2022」
- 日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2024」
執筆者情報
井上 哲兵(いのうえ・てっぺい)
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
2009年に聖マリアンナ医科大学医学部を卒業後、同大学の研修医・呼吸器内科を経て、国立病院機構静岡医療センターにて呼吸器診療の研鑽を積む。
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。現在は3院の呼吸器医専門クリニックを要するフロントクリニックグループを運営。
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- 目黒区分院(2026年9月開院予定)
- 新宿区分院(2027年12月開院予定)
【保有資格・所属学会】
- 緩和ケア研修会修了医
- 医学博士
- 日本内科学会認定内科医
- 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
- 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
- 日本医師会認定産業医
- 厚生労働省認定 臨床研修指導医
- 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
- 難病指定医(呼吸器)
