• 2月 8, 2025
  • 4月 27, 2025

タバコがやめられない最大の理由は何か?禁煙するために必要な正しい知識。

喫煙者の人にとってみると耳の痛い話です。覚悟が決まりましたら続きをお読みください。

呼吸器内科医をしていますと、毎日、毎日、禁煙してください!と言うのが仕事の一つになってきます。外来を通して今まで何万人という喫煙者の方々とお会いしてきました。すると、禁煙に成功する人と、失敗する人の違いについてなんとなく分かってくるのです。

禁煙できる人は、喫煙行為のメカニズムをきちんと理解して行動している。これにつきます。

禁煙できない人は、喫煙行動とは何か?なぜ、喫煙してしまうのかを理解していないことが多いのです。

喫煙するという行為はなぜ生まれるのでしょうか。喫煙者に聞くと大体以下のように言います。

1:習慣。朝起きたら、朝食後、昼食後、3時の休憩でコーヒーと共に、夕食後、お酒を飲んだら、お風呂入ったら、寝る前に。

2:仕事のストレスや日常生活のストレスがきつくて、ストレス解消の為にタバコを吸ってしまう。

ハッキリと申し上げますとこれは医学的に間違っています。WHOの疾患分類ではタバコがやめられない人の事をニコチン依存症と言う病気として認定しています。

タバコが吸いたくなる時はどのようなタイミングなのかと言えば、単純にニコチン血中濃度が低下している時となります。ニコチンの代謝のスピードやニコチンを欲するようになる血中ニコチン濃度が喫煙者によって異なるため、人によって喫煙したくなるタイミングは異なる事になりますが、個人で見た時には毎日同じタイミングで喫煙を繰り返していく事になります。これを『習慣』という言葉で言い換えているのです。習慣ではなく、ただ単純に毎日同じタイミングでニコチン血中濃度が低下して喫煙欲求が生じ、それを満たすために喫煙をしているだけなのです。

では、仕事のストレスや日常生活のストレスでタバコを吸ってしまうと訴える人はどうなのでしょうか。やはりそれも医学的に間違いです。仕事をしていてストレスを感じない人はいませんが、喫煙者の人の方が、仕事のストレスを強く訴えるように思います。(あくまで私見です。すみません。)喫煙者の人が訴える仕事や日常生活のストレスは、血中ニコチン濃度が低下していることで生じるイライラや焦燥感の事を指していることが殆どです。その証拠にタバコを吸うと10秒から30秒以内にイライラが消失するような、スッとする感覚がありませんか?そのメカニズは凄く簡単で、血中ニコチン濃度が上昇しただけなのです。タバコを吸っても消失しないイライラが本当に仕事によるストレスです。決してタバコを吸うと日常生活や仕事の真のイライラは消失しません。

禁煙するための第一歩は、大変申し上げにくいですが、自身がニコチン依存症であることを認めることです。タバコを吸えない時、禁煙を始めてすぐの時、激しいイライラが必ずきます。その時にこう思って欲しいのです。『なんて凄い中毒性・依存性なんだ!』と。

ちなみに、ニコチンはヘロイン・コカインよりも依存症になりやすく、一度依存症になるとコカイン・ヘロインと同じくらいやめられないという厄介な化学物質なのです。

タバコは吸い続けると、様々な健康被害を自分にも周囲の人にも同じように引き起こすのです。喫煙のメカニズムをシッカリと理解して禁煙に取り組みませんか??

文責:医療法人社団南州会 理事長 井上哲兵

経歴

  • 2003年浅野高校卒業
  • 2009年聖マリアンナ医科大学医学部卒業
  • 2009年4月~2011年3月同大学病院研修医
  • 2011年4月~2015年3月同大学呼吸器内科診療助手兼同大学内科(呼吸器)大学院
  • 2015年4月~2018年3月同大学呼吸器内科助教
  • 2018年4月~2019年3月独立行政法人国立病院機構静岡医療センター呼吸器内科医長
  • 2019年4月医療法人社団南州会理事長/聖マリアンナ医科大学非常勤講師
  • 2019年8月三浦メディカルクリニック院長
  • 2024年5月横浜フロントクリニック開院

資格・役職

  • 医学博士
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本呼吸器学会呼吸器専門医
  • 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • 厚生労働省認定臨床研修指導医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
  • 難病法における難病指定医(呼吸器)
  • 緩和ケア研修会修了医
  • アレルギー舌下免疫療法適正使用管理体制に基づく講義の受講・試験の修了医
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