- 9月 27, 2026
階段で息が切れるようになったら|横浜駅直結の呼吸器内科専門医が解説する息切れの原因

「駅の階段を上りきったところで、少し立ち止まるようになった」「同じ年代の人に、歩く速さで追い越されるようになった」「以前は平気だった坂道で、息が上がる」
外来で伺うこうした訴えには、ひとつ共通点があります。多くの方が、受診する前にご自身で理由をつけている、という点です。年齢のせい。運動不足。体重が増えたから。
これらは実際に息切れの原因になりますし、当てはまる方も多くいます。ただ、息切れは体の複数の仕組みが関わって生じる症状で、原因は肺だけに限りません。そして、その区別は自覚症状だけではつきません。
「階段で息が切れる」が起こる理由
息を吸って酸素を取り込み、それを全身に運び、筋肉で使う。この一連の流れのどこかに負担がかかると、息切れとして自覚されます。関わる系統は大きく4つに分けられます。
① 気道・肺の問題
- 喘息:気道の炎症により空気の通り道が狭くなります。運動時や夜間に症状が出やすく、咳や喘鳴を伴うことがあります
- COPD(慢性閉塞性肺疾患):喫煙歴のある方に多く、年単位でゆっくり進行します。痰や咳を伴うことがあります
- 間質性肺炎:肺そのものが硬くなり、酸素の取り込みが落ちます。乾いた咳を伴うことがあります
- 感染後の遷延:肺炎などのあと、息切れだけが残ることがあります
② 心臓の問題
心臓から送り出される血液の量が足りないと、体は酸素不足を補おうとして呼吸を増やします。心不全、弁膜症、不整脈、虚血性心疾患などが関わります。横になると苦しい、足がむくむ、夜間に息苦しくて目が覚めるといった症状を伴うことがあります。
③ 血液・全身の問題
貧血では、酸素を運ぶ赤血球が不足するため、動いたときに息切れが出ます。甲状腺機能の異常でも、代謝の変化を通じて息切れとして自覚されることがあります。
④ 体力・体格・心理的な要因
運動習慣が減ったことによる持久力の低下、体重の増加、不安による過換気。これらも実際に息切れを生じます。
重要なのは、これらが排他的ではないという点です。喘息と体重増加が重なっている、貧血と運動不足が同時にある、といったことは珍しくありません。「年齢のせい」と判断してしまうと、そこに混ざっている他の要因が見えなくなります。

なぜ呼吸器専門医への受診が必要か
ゆっくり進むと、本人が気づきにくい
息切れは、徐々に進行すると自覚されにくい症状です。体が無意識のうちに行動を調整するためで、階段を避ける、歩く速度を落とす、重い荷物を持たないといった変化が先に起こります。本人は「困っていない」と感じていても、実際には活動量が下がっていた、ということがあります。
安静時には現れない
診察室で座っている状態では、息切れは再現されません。聴診でも、軽度の気道の狭さは捉えにくいことがあります。そのため、呼吸機能検査で数値として確認することが必要になります。
肺と心臓は、症状だけでは分けられない
息切れという症状自体は、肺が原因でも心臓が原因でも似た形で現れます。区別するには、画像検査、呼吸機能検査、血液検査を組み合わせ、必要に応じて心臓の評価も加えていくことになります。
経過した期間が結果に関わる
喘息では、気道の炎症が続いた状態が長引くと、気道の壁が厚く硬くなる変化(リモデリング)が進むことが知られています。COPDも、喫煙を続けている間は肺の機能が低下していきます。いずれも、早い段階で状態を把握しておく意味があります。
横浜フロントクリニックで対応できること
当院は、呼吸器診療を専門の入口として設計したクリニックです。
- 呼吸機能検査:息を吸って吐く力を数値化し、気道が狭くなっていないかを確認します。息切れの評価では中心になる検査です
- FeNO検査:呼気に含まれる一酸化窒素を測定し、気道にタイプ2炎症(好酸球性炎症)が関わっているかどうかの手がかりを得ます
- 胸部X線・CT:間質性肺炎や気腫の有無、X線では写りにくい淡い陰影、心臓の大きさなどを確認します
- 血液検査:貧血、甲状腺機能、炎症反応、心臓の負荷を示す項目などを症状に応じて組み合わせます
これらを院内で実施しており、受診されたその日のうちに結果をもとにした説明までお伝えできる体制を取っています。心臓の精密な評価が必要と判断した場合には、適切な医療機関へおつなぎします。喘息と診断された場合には吸入薬による治療を基本とし、症状が落ち着かない場合には重症喘息外来で、生物学的製剤(ゾレア、デュピクセント、ファセンラなど)を含む選択肢を保険適用の条件とあわせてご説明します。
当グループには複数の院に呼吸器専門医が在籍しており、判断の難しい画像所見や治療方針については、グループ内で検討したうえでお伝えしています。
受診の目安・タイミング
こんな症状があれば受診をお勧めします
・同年代の人と同じ速さで歩くと、息が切れて遅れてしまう
・以前は上れた階段の途中で、立ち止まるようになった
・息切れとあわせて、咳や痰が続いている
・横になると息苦しい、夜間に息苦しくて目が覚める
・足がむくむ、体重が短期間で増えた
・喫煙歴がある、または過去に喫煙していた
・健診で貧血や心電図の異常を指摘されたことがある
次の場合は、期間にかかわらず早めの受診をご検討ください。
・安静にしていても息苦しい
・息切れが数日のうちに急に強くなった
・胸の痛みを伴う
・唇や指先の色が悪い
よくある質問
年齢による息切れとの違いは何ですか?
自覚症状だけで区別することは困難です。目安になるのは、同年代の人と比べてどうかという点と、以前の自分と比べてどう変わったかという点です。同じ速さで歩いて遅れる、以前は上れた階段で立ち止まるといった変化がある場合は、一度調べておく段階だとお考えください。
息切れの検査ではどんなことをしますか?
呼吸機能検査で気道の狭さを数値として確認し、胸部X線やCTで肺と心臓の状態を見ます。あわせてFeNO検査で気道の炎症の関与を、血液検査で貧血や甲状腺機能を確認します。いずれも当院で当日実施でき、結果の説明まで同じ日のうちに進められます。
禁煙すれば息切れは良くなりますか?
COPDでは、禁煙は肺機能の低下する速さを抑えるうえで最も重要とされています。すでに失われた機能が元に戻るわけではありませんが、その後の経過に関わる要素です。まずは呼吸機能検査で現在の状態を確認したうえで、ご相談ください。
横浜で息切れを診てもらえますか?
横浜フロントクリニックでは、呼吸器専門外来で労作時息切れの評価に対応しています。呼吸機能検査・FeNO検査・胸部X線・CTを当日実施できます。横浜駅西口から直結です。

執筆者情報
井上 哲兵(いのうえ てっぺい)医師
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長 / 医学博士 / 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。
現在は呼吸器専門クリニックを擁するフロントクリニックグループを運営。
三浦メディカルクリニック
横浜フロントクリニック
東京品川フロントクリニック
自由が丘フロントクリニック(2026年10月開院予定)
新宿区分院(2027年12月開院予定)
【保有資格・所属学会】
緩和ケア研修会修了医
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
日本医師会認定産業医
厚生労働省認定 臨床研修指導医
身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
難病指定医(呼吸器)
参考資料
- 日本呼吸器学会『COPD診断と治療のためのガイドライン2026〔第7版〕』
- 日本アレルギー学会『喘息予防・管理ガイドライン2024』
- 日本循環器学会/日本心不全学会『急性・慢性心不全診療ガイドライン』