- 3月 9, 2026
横浜に在住もしくは勤務する花粉症の方へ。横浜は花粉症が重症化しやすいことをご存知ですか?そして、放置すると喘息症状も悪化しやすいです。呼吸器専門医が解説!

1.「横浜駅周辺」は花粉症に厳しい環境なのか?
実は、都市部、特に横浜駅のような大規模ターミナル周辺には、花粉症を悪化させる「3つのトラップ」が潜んでいます。
① 「ビル風」による花粉の粉砕と再飛散
横浜駅西口や高層ビルが立ち並ぶエリアでは、強いビル風が吹いています。地面に落ちた花粉は風で何度も舞い上がり、さらにアスファルトの上で車に踏まれることで細かく粉砕されます。微細化した花粉は、鼻のフィルターを通り抜け、肺の奥(気管支)まで到達しやすくなるため、咳やゼーゼーを誘発しやすくなるのです。
② 排気ガスと花粉の「悪魔の合体」
都市部特有のディーゼル排気微粒子(DEP)は、花粉の表面を傷つけ、アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)を放出させやすくします。これが「花粉症+汚染物質」の相乗効果を生み、山間部よりも都市部の方が症状が重くなる一因と言われています。
③ 地下街と地上の「激しい寒暖差」
横浜駅の深い地下道から地上へ出た際、冬から春にかけては10°C以上の温度差があることも珍しくありません。この急激な寒暖差が、過敏になった気管支を刺激し、発作的な咳を引き起こします。
2. 専門医が教える「悪化させない」ための私生活ハック
薬を飲むの同じくらい、大切なことをお伝えします。今日から「ルーティン」を変えてください。
① 帰宅後、洗顔をお勧めします
多くの人は「服を払う」だけで満足しますが、実は顔(特に目の周りと鼻の入り口)に付着した微細花粉が、帰宅後の咳の主犯です。
- コツ: 玄関で上着を脱いだら、真っ先に洗面所へ向かい、「顔を洗う」こと。これだけで、室内で吸い込み続ける花粉の量を劇的に減らせます。
② 掃除機をかける前の「ウェット拭き」
朝、起きた瞬間に咳が出る方は、寝ている間に床に積もった花粉を吸い込んでいます。
- NG行動: いきなり掃除機をかけること。排気によって花粉を部屋中に再飛散させてしまいます。
- 正解: まずはクイックルワイパー等のウェットシートで、静かに床を拭き取ってから掃除機を併用しましょう。
③ 加湿器の設置
加湿は気管支の粘膜を守るために活用されている方も多いと思いますが、置き場所も重要です。
- 推奨: エアコンの風が直接当たらない場所、かつ「床から少し高い位置」に設置してください。湿り気を含んだ花粉は重くなり床に落ちるため、寝室の枕元から少し離れた場所で稼働させるのが効果的です。

3. 「花粉症からの喘息症状の悪化」かどうかを見極める最新検査
「咳が続いているけど、自分は喘息なのか?」不安な方もいますよね。この疑問に答えを出せるのが、当院で実施している「呼気NO(一酸化窒素)検査」です。
- 検査方法: 測定器に一定の速さで10秒ほど息を吹き込むだけです。痛みはありません。
- わかること: 気道に「喘息の炎症」がどれくらい起きているかを数値化します。
- 20ppb未満: 正常
- 20〜35ppb: 炎症の疑いあり
- 35ppb以上: 喘息の可能性が非常に高い
「ゼーゼー」と音がしていなくても、数値が高い場合は喘息と診断されます。数値で「喘息の状態を見える化」することで、適切な吸入薬の選択が可能になります。
4. 花粉症を放置すると喘息を悪化させます。「正しい治療」の考え方
花粉と喘息というと無関係!と思われる方もいますよね。ではハウスダストと喘息ではどうでしょうか。埃っぽいところに行ったら喘息が悪化した!って聞いたらなんとなく納得できませんか?そうです。それと同じです!酷い花粉症の人は適切に対応していく必要があります。場合によってはゾレアも検討すべきなのです。
- 吸入ステロイド薬の役割: 炎症を直接鎮める「火消し」の役割を果たします。花粉の季節はいつもより薬のパワーをあげることも検討しましょう。
- ゾレア:抗IgE抗体であるゾレアは、原因となる物質を源流で止める薬です。効果も安全性も非常に高い薬です。
[まとめ] 花粉症の悪化から続く長引く咳は「喘息発作の危険信号」のことがあります。
横浜駅周辺というアクティブな環境で過ごすからこそ、呼吸器のセルフケアは重要です。
- 「ビル風」を警戒し、帰宅後は即・洗顔で花粉をリセットする
- 掃除や加湿の仕方を工夫し、寝室の環境を整える
- いつも以上に吸入薬を忘れずに行いましょう!内服も忘れずに!
- 「ゼーゼー」や長引く咳は、呼気NO検査で数値化して正しく評価を。
「たかが花粉症の咳」と我慢せず、早めに専門的なアプローチをとることが、数年後のあなたの健康を守ります。横浜駅近くの当院では、大学病院レベルの設備と法人全体で呼吸器専門医・アレルギー専門医30名にも及ぶ体制で、皆様の健やかな春をサポートいたします。
引用ソースリスト
- 日本内科学会雑誌 第106巻 第6号:アレルギー性鼻炎を合併する喘息の管理 https://www.naika.or.jp/
- 日本呼吸器学会:喘息予防・管理ガイドライン 2021 https://www.jrs.or.jp/
- PMID: 30422325 (Impact of pollen on cough and airway inflammation) PubMed Link
執筆者情報
井上 哲兵(いのうえ・てっぺい)
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。現在は3院の呼吸器医専門クリニックを要するフロントクリニックグループを運営。
フロントクリニックグループ一覧
- 三浦メディカルクリニック
- 横浜フロントクリニック
- 東京品川フロントクリニック
- 目黒区分院(2026年9月開院予定)
- 新宿区分院(2027年12月開院予定)
【保有資格・所属学会】
- 緩和ケア研修会修了医
- 医学博士
- 日本内科学会認定内科医
- 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
- 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
- 日本医師会認定産業医
- 厚生労働省認定 臨床研修指導医
- 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
- 難病指定医(呼吸器)
