• 10月 7, 2026

喘息と鼻づまり・においの低下|横浜の呼吸器内科

「喘息の吸入薬は毎日使っているのに、鼻づまりがずっと続いている」「においが分かりにくくなった」「かぜでもないのに、粘り気のある鼻水がのどの奥に落ちてくる」

喘息で通院されている方から、鼻の症状についてのご相談をいただくことがよくあります。鼻は耳鼻咽喉科の領域なので呼吸器内科では関係がない、と思われがちですが、実際は逆です。

この記事では、喘息と鼻の症状がなぜ結びつくのか、どんなときに踏み込んだ確認が必要になるのかを整理します。

喘息の治療中に、鼻の症状が続くのはなぜか

鼻と気管支は1本につながった気道で、同じ炎症が上と下の両方で起きていることがあるためです。

鼻の奥からのど、喉頭、気管、気管支へ。空気の通り道は途中で切れていません。粘膜の性質も似ており、同じ種類の炎症が上気道(鼻・副鼻腔)と下気道(気管・気管支)の両方で起こりえます。呼吸器とアレルギーの領域では、これを「ひとつの気道」という考え方で捉えます。

鼻・副鼻腔からのど、気管、気管支・肺までが1本の気道としてつながっていることを示した模式図。上気道と下気道の両方に同じタイプ2炎症(好酸球性炎症)が起こりうることを示している。
空気の通り道は途中で切れていません。上と下で同じ炎症が起きていることが珍しくありません。

喘息の多くに関わるのはタイプ2炎症(好酸球性炎症)と呼ばれる反応です。この炎症は気管支だけに限って起きるものではなく、鼻や副鼻腔の粘膜でも同じように生じます。そのため、喘息のある方に鼻の症状が重なるのは偶然ではなく、同じ土台を共有していると考えられます。

もう一点、構造の面からも関わりがあります。鼻は吸い込んだ空気を温め、湿らせ、ほこりを取り除くフィルターの役目を担っています。鼻がつまって口で呼吸するようになると、冷たく乾いた空気が直接気管に入ることになり、気道が刺激を受けやすくなります。鼻づまりが続いている時期に喘息の症状が出やすくなるのは、この影響も関係します。

鼻で呼吸しているときと、鼻がつまって口で呼吸しているときを比較した図。鼻呼吸では空気が温められ湿り気が加わりほこりが取り除かれるのに対し、口呼吸では冷たく乾いた空気がそのまま気道に入ることを示している。
鼻は空気を整えるフィルターの役目をしています。鼻づまりの時期に症状が出やすくなる理由のひとつです。

喘息に重なりやすい鼻の状態は何か

代表的なのはアレルギー性鼻炎と好酸球性副鼻腔炎です。においが分かりにくくなっているかどうかが、ひとつの分かれ目になります。

アレルギー性鼻炎

ダニやハウスダストによる通年性のものと、花粉による季節性のものがあります。秋はブタクサ・ヨモギなどの花粉と、夏のあいだに増えたダニの死骸・ふんが重なる時期にあたります。くしゃみ、水のような鼻水、鼻づまりが中心で、喘息のある方に合併する頻度は高いことが知られています。

好酸球性副鼻腔炎

成人になってから発症する、治りにくいタイプの副鼻腔炎です。両側の鼻に鼻茸(ポリープ)が多発し、粘り気の強い鼻水と強い鼻づまりが続きます。においが分かりにくくなり、進行すると分からなくなります。抗菌薬が効きにくく、手術で鼻茸を取っても再発しやすいという特徴があります。成人発症の喘息や、解熱鎮痛薬で症状が出るタイプの喘息(NSAIDs過敏/アスピリン喘息)と合併しやすいことも知られています。

血液の好酸球の割合、鼻茸の有無、CTで副鼻腔のどこに陰影が出ているかなどを点数化して診断します。重症の場合は指定難病(好酸球性副鼻腔炎/指定難病306)として医療費助成の対象になります。

アレルギー性鼻炎と好酸球性副鼻腔炎の特徴を比較した図。鼻水の性状、症状の時期、嗅覚の変化、発症年齢、再発のしやすさ、喘息との合併について並べて示している。
症状だけでは区別がつかないため、血液の好酸球、鼻茸の有無、画像所見を合わせて判断します。
  アレルギー性鼻炎 好酸球性副鼻腔炎
鼻水 水のようにさらさら 粘り気が強い
時期 花粉なら季節性、ダニなら通年 季節に関係なく続く
におい 比較的保たれることが多い 分かりにくくなり、進むと分からなくなる
鼻茸 基本的にできない 両側に多発する
発症年齢 小児期からのことが多い 成人になってから
経過 治療で落ち着きやすい 抗菌薬が効きにくく、手術後も再発しやすい
喘息との関係 合併頻度が高い 成人発症喘息・NSAIDs過敏喘息と合併しやすい
同じ方に両方が重なっていることもあります。確定には鼻の内視鏡や副鼻腔の画像評価が必要になります。

鼻と気管支の両方で炎症が長引いている状態

副鼻腔の慢性的な炎症と、気管支の炎症が同時に続いているケースもあります。この場合、咳と痰が月単位で続き、咳止めだけでは収まりません。喘息として治療していても痰が減らない場合、鼻側の評価が手がかりになることがあります。

なぜ呼吸器専門医に相談したほうがよいのか

吸入薬を増やす前に確認すべき点が複数あり、鼻の状態はそのひとつだからです。

症状が残る理由は、薬の量だけではない

吸入薬をきちんと使っているのに症状が残る場合、原因は吸入薬の量だけではありません。吸入の手技、鼻の炎症、胃酸の逆流、体重、喫煙など、複数の要素が重なっていることがあります。鼻の症状が続いているなら、そこを整えることがコントロールの改善につながる場合があります。

喘息の症状が残るときに確認する5つの項目を並べた図。吸入の手技、鼻の炎症、胃酸の逆流、体重の変化、喫煙・受動喫煙について、それぞれ確認する内容を示している。
症状が残る理由は、薬の量だけではありません。吸入薬を増やす前に確認したい点です。
確認すること 外来で見ている内容
吸入の手技 薬が気管支まで届いているか。実際に吸っていただいて確認します
鼻の炎症 鼻づまり、粘い鼻水、嗅覚の低下が続いていないか
胃酸の逆流 横になると咳が出る、食後やのどの違和感を伴う場合に考えます
体重の変化 短期間での増加は、息苦しさの出方に影響することがあります
喫煙・受動喫煙 ご本人だけでなく、同居されている方の喫煙も関わります
どれかひとつでも思い当たる場合は、診察のときにお伝えください。

嗅覚の低下は、ご本人から申告されにくい

においの感覚は少しずつ落ちていくため、ご自身では変化に気づきにくい症状です。外来では「食事の味が薄く感じる」「焦げたにおいに気づけなかった」といった形で初めて分かることがあります。嗅覚の低下は好酸球性副鼻腔炎を考える重要な手がかりになるため、こちらから伺うようにしています。

治療が重なる部分がある

タイプ2炎症を抑える生物学的製剤のなかには、喘息と鼻茸を伴う慢性好酸球性副鼻腔炎の両方に保険適用があるものがあります。(デュピクセント/ヌーカラ/テゼスパイア)も鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎について国内で承認されました。

つまり、鼻と気管支を別々の問題として扱うのではなく、一続きの気道として治療を組み立てられる場面が増えています。ただし、使用には重症度や検査値など保険適用の条件があり、どなたにでも当てはまるものではありません。鼻茸の詳しい観察や手術は耳鼻咽喉科の領域ですので、必要な場合は連携して進めます。

横浜フロントクリニックで対応できること

  • 呼吸機能検査:気道が狭くなっていないか、治療でどこまで戻るかを数値で確認します
  • FeNO検査:呼気中の一酸化窒素を測定し、気道のタイプ2炎症の関与を確認します
  • 血液検査:血中好酸球、総IgE、原因となりうるアレルゲンに対する特異的IgEを確認します
  • 胸部X線・CT:気管支や肺の状態を確認し、他の原因が隠れていないかを評価します
  • 吸入手技の確認:実際に吸っていただき、薬が届いているかを一緒に確かめます
  • 重症喘息外来:症状が落ち着かない場合、生物学的製剤(ゾレア、デュピクセント、ファセンラなど)を含む選択肢を、保険適用の条件とあわせてご説明します

これらを院内で実施しており、受診されたその日のうちに結果をもとにした説明までお伝えできる体制を取っています。鼻の内視鏡検査や副鼻腔の手術が必要と判断した場合には、耳鼻咽喉科へおつなぎします。

当グループには複数の院に呼吸器専門医が在籍しており、判断の難しい所見や治療方針については、グループ内で検討したうえでお伝えしています。

受診の目安・タイミング

こんな症状があれば受診をお勧めします
・喘息で治療中だが、鼻づまりや鼻水が続いている
・においが分かりにくい、食事の味を感じにくくなった
・粘り気の強い鼻水が、のどの奥に落ちてくる
・鼻の手術を受けたが、また症状が戻ってきた
・解熱鎮痛薬を飲んだあとに、咳や鼻づまりが強くなったことがある
・大人になってから喘息と言われ、鼻の症状も同じ時期から続いている

次の場合は、その日のうちに医療機関を受診してください。
・息苦しさが強く、会話が途切れる
・吸入薬を使っても息苦しさが戻ってしまう
・唇や指先の色が悪い
・解熱鎮痛薬の服用後に、急に強い息苦しさが出た

よくある質問

鼻の症状は耳鼻咽喉科に行くべきですか?

どちらか一方ということではありません。鼻の中の観察や処置、手術は耳鼻咽喉科の領域です。一方で、喘息のコントロールが鼻の状態に左右されているかどうかの評価、タイプ2炎症がどの程度関わっているかの確認は呼吸器内科で行います。喘息で通院されている方は、鼻の症状も診察時にお伝えください。必要に応じて耳鼻咽喉科への受診をご案内します。

においが分からないのは年齢のせいでしょうか?

加齢による変化もありますが、鼻づまりや粘り気のある鼻水を伴っている場合は、鼻の炎症が関わっている可能性があります。特に喘息のある方で嗅覚の低下が進んでいる場合は、好酸球性副鼻腔炎を念頭に確認します。「年齢のせい」と整理する前に、一度調べておく意味があります。

喘息の吸入薬を使っていれば、鼻にも効きますか?

吸入薬は気管支に届くよう設計されているため、鼻や副鼻腔の炎症に対しては十分に働きません。鼻の症状には点鼻薬や内服など、別の治療を組み合わせることになります。逆に、鼻の治療だけで気管支の炎症が収まるわけでもありません。上と下の両方を見ていく必要があります。

横浜で喘息と鼻の症状をまとめて相談できますか?

横浜フロントクリニックでは、呼吸器専門外来で喘息の評価を行い、鼻の症状を含めて全体の経過を整理します。呼吸機能検査・FeNO検査・血液検査・胸部X線・CTを当日実施でき、結果の説明まで同じ日のうちに進められます。横浜駅西口から直結です。

診療時間・アクセス

横浜フロントクリニック
〒221-0835 神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町一丁目41番地
THE YOKOHAMA FRONT 3階 301-C
TEL:045-577-0121

診療時間:9:00〜12:30 / 14:00〜18:00
休診日:日曜・祝日
※診療受付は終了30分前まで

横浜駅西口から直結。通勤・通学の途中やお勤め帰りにもお立ち寄りいただきやすい立地です。

まとめ

鼻と気管支は1本の続いた気道で、同じタイプ2炎症が上と下の両方で起きていることがあります。喘息の治療をしているのに鼻の症状が続いている方、においが分かりにくくなってきた方では、鼻側の状態がコントロールに関わっている可能性があります。

吸入薬を増やす前に確認しておきたい点がいくつもありますので、鼻の症状も含めて一度ご相談ください。

 

執筆者情報

井上 哲兵(いのうえ てっぺい)医師

医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長 / 医学博士 / 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。
現在は4院の呼吸器専門クリニックを擁するフロントクリニックグループを運営。

【保有資格・所属学会】
緩和ケア研修会修了医
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
日本医師会認定産業医
厚生労働省認定 臨床研修指導医
身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
難病指定医(呼吸器)

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参考資料

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