• 4月 11, 2026

横浜で睡眠時無呼吸症候群を診てもらうなら|検査・CPAP・通院を専門医が解説

自分のいびきで目が覚める、朝起きても疲れが取れない、会議中や電車の中で気づいたら眠っていた──こうした症状を「年のせい」や「疲れのせい」と片付けてしまっている方は少なくありません。

しかし、これらは睡眠時無呼吸症候群(SAS(サスと読みます):Sleep Apnea Syndrome)の典型的なサインです。SASは睡眠中に気道が繰り返し塞がり、呼吸が止まる病気で、放置すると高血圧・不整脈・脳卒中・心筋梗塞といった深刻な合併症につながることがわかっています。

日本では中等症から重症のSAS患者が約900万人いると推定されていますが(Benjafield AV, et al: Lancet Respir Med 2019)、治療を受けているのはそのごく一部にとどまっています。「まさか自分が」という方ほど、一度きちんと調べてみることをお勧めします。

  • 家族や同居者にいびきを指摘されている
  • 睡眠中に呼吸が止まっていると言われたことがある
  • 朝起きると頭が重い・口が渇いている
  • 十分寝たはずなのに日中に強い眠気がある
  • 会議中・電車・運転中に眠くなる
  • 夜中に何度もトイレに起きる
  • 高血圧や糖尿病の治療中だが、なかなかコントロールが安定しない

肥満・首が短い・顎が小さいといった体型的特徴がある方はリスクが高い傾向がありますが、痩せている方・女性・高齢者にも起こります。体型だけで自己判断しないことが重要です。

SASの本質的な問題は、「眠れない」ことよりも、睡眠中に繰り返し低酸素状態になることです。

呼吸が止まるたびに血中酸素濃度が低下し、心臓や血管に負荷がかかります。これが毎晩・年単位で続くことで、様々な合併症リスクが高まります。

日本呼吸器学会のガイドラインによれば、成人SASでは高血圧・脳卒中・心筋梗塞などを引き起こす危険性が約3〜4倍高くなり、特に重症例(AHI 30以上)では心血管系疾患発症リスクが約5倍にもなるとされています。

主な合併症と発症リスクをまとめると以下のとおりです。

合併症リスク上昇の目安
高血圧SAS患者の約50%が合併
脳梗塞健常人の約3.3倍
夜間突然死(致死性不整脈)健常人の約2.6倍
交通事故健常人の約7倍
糖尿病・耐糖能障害SAS患者の約50%に合併

また、日中の眠気は仕事や生活の質を著しく低下させます。2003年の山陽新幹線居眠り運転事故を機にSASへの社会的認知が広がりましたが、職業ドライバーに限らず、SASによる集中力・判断力の低下は職場でのパフォーマンスにも影響します。

SASの診断・重症度評価に使われる指標がAHI(エーエイチアイ:Apnea Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数)です。睡眠1時間あたりの無呼吸(10秒以上の呼吸停止)と低呼吸(換気量が低下し酸素飽和度が3%以上低下する状態)の合計回数で表します。

なお、CPAPの保険適応は2026年診療報酬改定にて6月より保険適応基準が変わります。

⭐️簡易検査

重症度AHI(1時間あたり)主な対応
正常5未満経過観察
軽症5以上15未満生活習慣改善・マウスピース
精密検査を検討
中等症15以上30未満精密検査
重症30以上CPAP療法(保険適用)

⭐️精密検査

重症度AHI(1時間あたり)主な対応
正常5未満経過観察
軽症5以上15未満生活習慣改善・マウスピース
中等症15以上CPAP療法(保険適用)
重症30以上CPAP療法(保険適用)

日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」及び2026年診療報酬改定参照。

重症度が上がるほど合併症リスクも高くなります。

ステップ1:問診・身体診察 症状の聞き取りと体型的リスク因子の確認を行います。

ステップ2:簡易検査(自宅で実施) 指先のパルスオキシメーターと鼻の下のセンサーを装着して一晩眠るだけです。自宅で実施するため入院の必要はなく、体への負担もほとんどありません。簡易検査でAHIが30以上と判定された場合は、この検査結果でCPAP療法の保険適用が認められます。

ステップ3:精密検査・終夜睡眠ポリグラフ(PSG) 簡易検査でAHIが5以上30未満だった場合や、より詳細な評価が必要な場合に行います。脳波・呼吸・酸素飽和度など複数の指標を同時に測定する検査です。以前は1泊2日の入院が必要でしたが、現在は自宅にて精密検査を行うことができます。PSGでAHIが15以上であればCPAP療法の保険適用となります。

CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)

SASの標準治療で、中等症〜重症に対して保険適用となります。就寝時にマスクを装着し、気道に一定圧力の空気を送り続けることで気道の閉塞を防ぎます。

使い始めは違和感がある方も多いのですが、設定の最適化とマスクフィッティングの調整を行うことで多くの方が継続できるようになります。CPAP治療を続けることで、高血圧の新規発症抑制や心血管イベントリスクの低下も報告されており、症状改善だけでなく長期的な健康管理としての意義があります。

なお、CPAP療法はAHI15以上(PSG検査)またはAHI30以上(簡易検査)が保険適用の目安です。

マウスピース(口腔内装置)

軽症〜中等症のSASや、CPAPが使いにくい方に対して歯科で作製する装置です。下顎を前方に固定し気道を広げる方法で、携帯しやすく旅行中でも使いやすいという利点があります。健康保険適用で作製できる場合がありますが、内科から歯科への検査結果を記載した紹介状が必要です。

生活習慣の改善

肥満が関与している場合、体重を10%減らすことで無呼吸の程度が約26%改善するという報告があります(Wisconsin Sleep Cohort Study)。就寝前の飲酒も気道周囲の筋肉を弛緩させてSASを悪化させるため、見直しが必要です。

CPAP治療を始めたばかりの時期は、使用状況の確認や機器の設定調整のために月1回程度の通院が必要です。

CPAPの使用が安定し、症状のコントロールが良好と確認できた方については、当院では3ヶ月に1回の通院に切り替えることができます。機器に記録されたデータを受診時に確認し、問題がなければその日の診察は短時間で終わります。「治療のために毎月休みを使わなければならない」という状況は、できるだけ早く解消できるよう、一人ひとりの状況に合わせて通院間隔を調整しています。

「今のクリニックが遠くて通いにくい」「もっと駅に近い場所で続けたい」という方の転院相談も受け付けています。前医の検査結果を含めた紹介状があればスムーズに引き継ぎが可能です。なお、ほとんどの機種の取り扱いがありますので、今使っているCPAPの機械を取り替えたりすることなく引き継ぐことが可能です。

あまり知られていませんが、SASと喘息は合併しやすい疾患です。どちらも気道の問題が関係しており、夜間の気道狭窄という点で重なる部分があります。SAS患者の喘息合併率は一般人口より高く、逆に喘息患者にもSASの合併が多いことが報告されています。

「CPAPを使っているのに夜間の息苦しさが改善しない」という場合、喘息や気道炎症が合併しているケースがあります。横浜フロントクリニックは呼吸器内科を専門とするクリニックであるため、SASと呼吸器疾患を同時に評価・治療できる体制があります。

睡眠専門クリニックでは対応が難しいこうしたケースのご相談も歓迎しています。

参考文献・ガイドライン

井上 哲兵(いのうえ・てっぺい)
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医

2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。現在は3院の呼吸器医専門クリニックを要するフロントクリニックグループを運営。

フロントクリニックグループ一覧

【保有資格・所属学会】

  • 緩和ケア研修会修了医
  • 医学博士
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
  • 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • 厚生労働省認定 臨床研修指導医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
  • 難病指定医(呼吸器)
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