• 6月 21, 2025
  • 6月 22, 2025

幼少期のコントロール不良な気道炎症の存在や副流煙の暴露が将来の肺疾患(喘息やCOPD)の重篤化を来たす可能性がある。

2018年にLancet(世界5大医学雑誌の一つ)に幼少期のコントロール不良の喘息は将来の慢性閉塞性肺疾患(COPD)発症のリスク因子になることが報告されました。

2015年のNEJ(世界5大医学雑誌の一つ)に慢性閉塞性肺疾患(COPD)の中等症以上の患者の53%程度に肺の発育障害を認めたと報告されました。

2016年のNEJに小児期のコントロール不良な喘息がある場合、子供の肺の成長(呼吸機能の発達)が健常の子供と比較して75%程度に留まってしまうと報告されました。呼吸機能が低い大人になってしまった場合は喘息やCOPDが重症化しやすくなってしまうのです。これはよくよく外来で経験することですが、親の服薬管理や自宅環境(副流煙・動物・清掃状況など)が子供の喘息コントロールを左右してしまうので注意が必要です。

簡単にまとめますと、幼少期の喘息による気道炎症や家族の喫煙などに伴う気道炎症の存在は、肺の正常な発達を妨げ、将来の呼吸器疾患のリスクを上昇させるということなのです。子供の時の状態・状況・環境が、大人になってからの日常生活に多大な影響をもたらすわけです。

不安なことがあればかかりつけのDr.とよくご相談ください。吸入ステロイドを使うことが不安ならば、勝手に中断するのではなく必ず医師に相談してください。家庭内環境も見直してください。家族の禁煙ができなければ、禁煙外来を利用する手もあります。子供のためにできることはなにかを家族みんなで一緒に考えましょう。

文責:医療法人社団南州会 理事長 井上哲兵
経歴
2009年聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、同大学研修医、同大学呼吸器内科、国立病院機構静岡医療センターにて研鑽を積み、2019年4月医療法人社団南州会理事長就任。同年8月三浦メディカルクリニック開院。2024年5月横浜フロントクリニック開院。
資格・役職
医学博士・日本内科学会認定内科医・日本呼吸器学会呼吸器専門医・日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
日本医師会認定産業医・厚生労働省認定臨床研修指導医・身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
難病法における難病指定医(呼吸器)・緩和ケア研修会修了医

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