• 8月 9, 2026

台風が近づくと咳が出る|横浜の呼吸器内科が気圧と喘息を解説

横浜の呼吸器内科には、8月から10月にかけて「天気が崩れる前になると、決まって咳が出る」「台風が近づくと息苦しくなるが、通り過ぎると落ち着く」というご相談が増えます。ご本人も半信半疑で、「気のせいだと思うのですが」と前置きされる方が少なくありません。

しかし、気圧の変化と喘息症状の関連は、複数の研究で報告されています。気のせいとして片づける必要はありません。むしろ、自分がどの条件で悪化しやすいかを把握することは、治療を組み立てるうえで有用な情報になります。

この記事では、台風や低気圧が近づいたときに呼吸器症状が出る仕組みと、備えとして何ができるかを整理します。

台風の接近時に体が受ける変化は、気圧の低下だけではありません。実際には複数の要因が同時に押し寄せます。

気圧の低下

気圧が下がると、自律神経のバランスが副交感神経優位に傾きやすくなります。副交感神経は気道を収縮させる方向に働くため、もともと気道が過敏な方では症状として現れやすくなります。

湿度の上昇

台風前後は湿度が急激に上がります。湿度の高い環境はダニやカビの増殖に適しており、アレルギーの原因物質が増えます。梅雨と同様、夏から秋にかけての台風シーズンも室内環境が悪化しやすい時期です。

気温の変動

台風の通過前後では、気温が数度単位で上下します。冷たい空気や急な温度差は、それ自体が気道を刺激する要因になります。

風による飛散物の増加

強風によって、花粉、ほこり、真菌の胞子などが巻き上げられます。秋はブタクサやヨモギの花粉が飛ぶ時期でもあり、これらが重なります。

つまり、台風時の症状悪化は「気圧のせい」の一言では説明しきれず、複数の要因が同時に作用した結果として起こっていると考えられます。

気道が過敏な状態にある方では、次のような連鎖が起こります。

まず、気圧や気温の変化が刺激となり、気道の平滑筋が収縮します。気道が細くなることで、空気の通り道が狭くなります。

同時に、気道の粘膜では炎症が強まり、むくみと分泌物の増加が生じます。これによって、内側からも通り道が狭くなります。

結果として、狭くなった気道を空気が通るときに、咳、痰、息苦しさ、ゼーゼーという音(喘鳴)が生じます。

重要なのは、この反応が起こるかどうかは、もともとの気道の状態によって決まるという点です。気道に慢性的な炎症が残っている方ほど、外的な変化に反応しやすくなります。

近年の喘息診療では、この炎症のタイプを分けて考えます。好酸球性炎症を伴うタイプ2炎症が主体なのか、そうではないノンタイプ2炎症が関与しているのかによって、治療の選択が変わってきます。FeNO検査では、この炎症の状態を数値として確認することができます。

横浜の呼吸器内科が解説する、気圧低下と気道の収縮の流れ図
台風接近時の4つの要因が、気道の収縮と炎症を経て症状に至る流れ

「天気が悪いときだけだから」という理由で受診を見送る方が多くいらっしゃいます。しかし、天候で悪化するという事実そのものが、気道に炎症が残っているサインである可能性があります。

症状が出ていない期間も、気道の炎症は続いていることがあります。炎症が長期間続くと、気道の壁が厚く硬くなる変化(リモデリング)が進み、元の状態に戻りにくくなることが知られています。この変化は、症状が軽い段階から少しずつ進行します。

つまり、「台風のときだけ苦しい」という状態は、軽症だから放っておいてよいのではなく、悪化のきっかけが明確に分かっている状態と捉えるべきです。きっかけが分かっているなら、それに備えた治療の組み立てができます。

また、天候で悪化する咳のすべてが喘息とは限りません。咳喘息、アレルギー性の気道炎症、副鼻腔炎に伴う後鼻漏、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、鑑別すべき疾患は複数あります。呼吸機能検査やFeNO検査を含めた評価によって、この区別をつけることができます。

横浜の呼吸器内科である横浜フロントクリニックは、横浜駅西口直結のTHE YOKOHAMA FRONT 3階にあります。呼吸器を専門とするクリニックとして、次の検査・診療に対応しています。

  • 呼吸機能検査:気道がどの程度狭くなっているかを数値化します
  • FeNO検査:気道の好酸球性炎症の程度を確認します。喘息の診断と、治療効果の評価に用います
  • モストグラフ(R5などの指標):通常の呼吸のまま、気道の抵抗を測定できます。呼吸機能検査では捉えにくい末梢気道の状態を評価します
  • 胸部CT:院内に設置しており、当日の撮影が可能です。他の肺疾患の除外に用います
  • アレルギー検査:ダニ、カビ、花粉など、悪化の要因となる物質を特定します

これらの検査結果をもとに、吸入薬の種類と量を調整します。症状が強く、標準的な治療で十分にコントロールできない場合には、重症喘息外来として生物学的製剤による治療も選択肢になります。当院ではゾレア、デュピクセント、ファセンラなどの保険適用での処方に対応しています。

フロントクリニックグループには複数の呼吸器専門医が在籍しており、診断や治療方針は個人の判断ではなくグループ共通の基準に基づいて決定しています。

次のような場合は、一度ご相談ください。

受診をご検討いただきたい状態

  • 天候が崩れる前に、決まって咳や息苦しさが出る
  • 咳が2週間以上続いている
  • 夜間や早朝に咳で目が覚めることがある
  • 会話や階段でゼーゼーという音がする
  • 市販の咳止めを飲んでも変化がない
  • 喘息の治療中だが、季節によってコントロールが乱れる

早めの対応が必要な状態

  • 息苦しさで横になれない
  • 発作時の吸入薬を使っても改善しない
  • 会話が途切れるほど息が切れる

台風シーズンに本番入る前に、横浜の呼吸器内科で現在の気道の状態を確認しておくことには意味があります。悪化してから受診するより、悪化する前に治療を調整するほうが、症状を抑えやすくなります。

横浜フロントクリニック

〒221-0835 横浜市神奈川区鶴屋町1-41 THE YOKOHAMA FRONT 3F
TEL:045-577-0121

横浜駅西口直結。呼吸器内科・一般内科・アレルギー科として、喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群、長引く咳、感染後の後遺症外来まで対応しています。

※診療時間・休診日の詳細は、当院公式サイトの診療時間ページをご確認ください。

台風や低気圧の接近時に咳や息苦しさが出るのは、気圧の低下による自律神経の変化、湿度上昇によるダニ・カビの増加、気温の変動、飛散物の増加といった複数の要因が重なって起こると考えられています。天候で症状が動くこと自体が、気道に炎症が残っているサインである可能性があります。

天気の変化で呼吸器の症状が出る方は、横浜の呼吸器内科・横浜フロントクリニックまでご相談ください。


井上 哲兵(いのうえ・てっぺい)

医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医

2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。現在は3院の呼吸器医専門クリニックを要するフロントクリニックグループを運営。

フロントクリニックグループ一覧

【保有資格・所属学会】

  • 難病指定医(呼吸器)
  • 緩和ケア研修会修了医
  • 医学博士
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
  • 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • 厚生労働省認定 臨床研修指導医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
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