• 3月 22, 2025
  • 3月 24, 2025

重篤な咽頭痛ってなんだ?その喉の痛みただの風邪じゃないかもしれません。

寒暖差が激しく、花粉もあって、湿度も低く、喉が痛くなりやすい季節がまだまだ続いていますね。先週、風邪(ウィルス感染)と細菌感染のざっくりとした見分け方について書きましたが、今回は、やばい咽頭痛について書きたいと思います。早期の治療が必要な咽頭痛があるのです。

今回は5つご紹介します。身体診察で分かる可能性が高いもの3つと検査しないと分からないもの2つです。

①急性喉頭蓋炎

喉の痛みが強い割に診察時に見える咽頭の所見が乏しい。一見正常の咽頭所見のように見える。

しかし患者さんは明らかに重症感があるように喉を抑えながら診察室に入室してくる。

症状は発熱+喉が痛くて飲み込めないくらいの強い喉の痛み+HOT Potato Voice

熱いポテトを食べている時のような声が籠った喋り方をするのが特徴です。急性喉頭蓋炎くらい強い痛みだと、内科よりも耳鼻科や救急外来を受診する患者さんが多いです。

②扁桃周囲膿瘍

片側の扁桃の周囲が腫れ上がってくる病気。なので強い片側のノドの痛みが特徴。炎症が強いと口がうまく開かなくなる開口障害が起きる。開口障害は指が縦3本入らなければ開口障害と診断。

扁桃を見るだけではなく、扁桃の周囲が腫れてないかどうかをちゃんと見ることが大切。慣れていないとパッと見ただけではわからない事もある。

③口底蜂窩織炎

口の中の衛生状況が劣悪な人に起きてくる。虫歯だらけ、歯周病で歯が多数欠損しているなど。口底という場所でも感染する層によって2つに分けられ、口の底の上の方のだと二重舌(舌の下に腫れ上がった隆起物があり二枚舌があるかのような所見を認める。)が特徴。口の底の下の方だと二重顎になる。

④咽後膿瘍・頚部膿瘍

魚の骨などの鋭利なのものが刺さったりして傷つけることで発症する。硬い魚骨、要注意です。

⑤血栓性静脈炎

内頸静脈感染性血栓性静脈炎と言われるものです。

咽頭痛+発熱があり一旦改善したが、数週間後にもう一度発熱+咽頭痛+頚部痛を認めるのが典型例です。

以上、5つになります。

1から3は診察で大体見抜けますが、4と5は身体診察だけでは見抜くことはできません。喉が痛くて痛くて仕方がないと訴えるが、ノドの炎症所見など診察上は問題ないという患者さんで+明らかに医師から見て重篤感がありそうだとなったら、C T検査を行うことになります。CT検査でも、できれば造影剤を使用して熟練の読影医に読影をしていただく必要があります。当院でもCT撮像はできますが、造影剤の使用ができないため、確実に診断がつくとは残念ながら言い切れません。

喉が痛すぎて唾液も飲み込めないという症状が出たら、場合によっては紹介状を出して救急病院に受診していただく場合があります。一回の受診で緊急性も含めて疾患の診断が付くのが理想ですが、残念ながら、そうではないこともしばしばございます。総合病院の救急外来をしている時に、日中開業医を受診したが、改善しなくてドンドン悪くなって心配になって来たという患者さんが度々いらっしゃいました。だからと言ってなんでもかんでもいきなり検査ではなく、医師側も患者様側もきちんと経過をしっかりと診るという考えが大切だと思います。患者様へのお願いとして、内服してもドンドン悪化するようなら再度受診するなどの考えを持って頂きたいのです。

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