• 7月 11, 2025

『認知症になる人・ならない人』という本が面白い。認知症を予防するにはどうしたら良いか?

米国・マウントサイナイ医科大学 老年医学科の山田 悠史先生、『認知症になる人 ならない人 全米トップ病院の医師が教える真実』(講談社)という本を知っていますか?詳しくは購入して読んでいただきたいのですが、面白い内容がいくつかあったので過度なネタバレにならない程度に、私的見解も混ぜながらご紹介したいと思います。

まずは、最も有名な認知症のリスク因子の一つ、脳血管の動脈硬化を来す生活習慣を列挙します。

  • タバコを吸う
  • 塩辛い食事を好む(梅干し、お新香、醤油・味噌・塩などの調味料の使いすぎ、などなど)
  • 脂っこい食事を好む
  • 甘いものを食べまくる。
  • 運動習慣がなく、座っている時間が長い

などがあります。脳血管の動脈硬化が進行すると脳への血流が減ったり、脳梗塞の発症リスクが上昇したりします。脳血管性認知症の原因となるわけです。

そして、外的刺激も大切です。

  • 一人暮らしで家にいる事が多い。人と話す機会がほぼない。
  • 視力障害
  • 難聴

環境因子と健康因子に分かれます。人との接触機会が少ない環境は好ましくありません。自発的な会話がなく脳を使わない生活になってしまい認知症が進行することに繋がります。また、視力障害・聴力障害の健康因子も大切です。目と耳は感覚器と呼ばれています。これらに障害があると、外からの刺激が入ってこなくなり脳への刺激が乏しくなり、認知症に繋がるわけです。異常があればすぐに眼科や耳鼻科の先生に相談しましょう。

そしてアルコールも一つの要因です。アルコールを生活習慣と独立させたのは、アルコールは動脈硬化も引き起こしますが、アルコール自体に脳を萎縮させる効果があるからです。過度な飲酒は認知症を発症させます。週に168g以上のアルコールを摂取する人はそうでない人に比べて認知症のリスクが約18%高くなるというデータもあります。つまり1日あたり、どんなに飲んでも24gまでのアルコール摂取に留めてください(缶ビール350ml2本程度まで)。できれば休肝日を週2−3日設定してくださいね。ストロング缶はNGということになります。

超加工食品を摂りすぎない!というのも大事らしいです。ハムやソーセージは脂質・糖質・塩分がてんこ盛りであり生活習慣病になるリスクを上昇させてしまうかららしいです。でもね、超加工食品はとっても美味しいです。ビールととってもよく合います。ビールとソーセージの食文化のドイツ人がみんな認知症かというとそうではないので、摂りすぎなければいいくらいに考えたほうが人生楽しいと思います。

面白いものとして、換気回数が少ないと認知症の発症リスクになるというデータがあるそうです。換気が悪い、空気の循環がない室内環境は脳血管の動脈硬化や生活習慣病を介して間接的に認知症と関係するらしいです。そのため、こまめに換気をして屋内の空気を新鮮に保つことが重要になるという。なるほど!とはならなかったですが、そうらしいので換気しましょう!

結論:バランスのいい食事を心がけ、適度な運動を行い、人とよく話し、眼科・耳鼻科の先生に不具合があればお世話になる。あと、家の換気をしてください、、、。

文責:医療法人社団南州会 理事長 井上哲兵
経歴
2009年聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、同大学研修医、同大学呼吸器内科、国立病院機構静岡医療センターにて研鑽を積み、2019年4月医療法人社団南州会理事長就任。同年8月三浦メディカルクリニック開院。2024年5月横浜フロントクリニック開院。2025年1月東京品川フロントクリニック(仮称)開院予定。
資格・役職
医学博士・日本内科学会認定内科医・日本呼吸器学会呼吸器専門医・日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
日本医師会認定産業医・厚生労働省認定臨床研修指導医・身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
難病法における難病指定医(呼吸器)・緩和ケア研修会修了医

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