• 4月 5, 2025
  • 4月 27, 2025

どれくらい難聴になると認知症になりやすくなるのか?

近年、難聴と認知症の関連性が濃厚であることが様々なデータから明らかになっています。慶應の耳鼻科のグループがどのくらい難聴になると認知症が進む可能性があるのかを研究した論文がNPJ Aging誌2025年2月24日号に掲載されましたので共有したいと思います。

2022年9月~2023年9月までに慶應義塾大学病院耳鼻科外来を受診した55歳以上で、両耳の4周波数(500/1000/2000/3000Hz)における平均聴力閾値(音として認識できる、音の大きさの事)が25dBを超えた人、つまりささやき声が聞こえないレベルから大きな音まで聞こえないレベルまでの重症度が違う難聴者を集め、補聴器未使用群55例と3年以上にわたり補聴器使用群62例の計117例を対象に、聴力と認知機能の関係について検討しています。その結果、補聴器未使用群で38.75dBを超えた難聴者が認知機能に影響を及ぼすことがわかったのです。一方で補聴器使用群では認知機能との関連性は認めませんでした。

40db前後の音と言うと、10m以内で行う日常会話くらいの音になりますので、普段の会話で聞き返すことが多くなったなどの症状が見られた場合はすぐに耳鼻科を受診して検査を受けることをお勧めします。難聴が重症化してしまうと認知機能に多大な影響を与えますのでご注意いただければと思います。

また若い人たちがイヤホンで大音量で音楽を聴くことで難聴になってしまう人が増えています。ご家族で該当の人がいましたら適正な音量にするように話し合ってみてくださいね。失われた聴力は戻りません。

文責:医療法人社団南州会 理事長 井上哲兵

経歴

  • 2003年浅野高校卒業
  • 2009年聖マリアンナ医科大学医学部卒業
  • 2009年4月~2011年3月同大学病院研修医
  • 2011年4月~2015年3月同大学呼吸器内科診療助手兼同大学内科(呼吸器)大学院
  • 2015年4月~2018年3月同大学呼吸器内科助教
  • 2018年4月~2019年3月独立行政法人国立病院機構静岡医療センター呼吸器内科医長
  • 2019年4月医療法人社団南州会理事長/聖マリアンナ医科大学非常勤講師
  • 2019年8月三浦メディカルクリニック院長
  • 2024年5月横浜フロントクリニック開院

資格・役職

  • 医学博士
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本呼吸器学会呼吸器専門医
  • 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • 厚生労働省認定臨床研修指導医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
  • 難病法における難病指定医(呼吸器)
  • 緩和ケア研修会修了医
  • アレルギー舌下免疫療法適正使用管理体制に基づく講義の受講・試験の修了医
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