- 11月 1, 2025
朝晩の寒暖差 ― この時期に増える「気温差喘息」に注意を

家を出ると咳がとまらない ― それ、寒暖差が原因かもしれません
「季節の変わり目になると咳が止まらない」「夜や朝方だけ息苦しくなる」――
そんな経験はありませんか?
この時期、風邪や感染症だけでなく、“寒暖差によって悪化する喘息” が増えています。
特に11月は、朝晩の気温がぐっと下がり、日中との温度差が大きくなる季節。
こうした気温差は、私たちの呼吸器に知らず知らずのうちにストレスを与えています。
横浜駅直結の大型呼吸器専門クリニック「横浜フロントクリニック」では、
気温差による咳・息苦しさを訴える患者さんが増えるこの時期、
「風邪か喘息か分からない」症状の早期診断と治療を重視しています。
寒暖差が喘息を悪化させるメカニズム
気温が急に下がると、私たちの気道(空気の通り道)は冷たい空気の刺激で収縮します。
このとき、喘息の人はもともと気道に炎症があるため、わずかな刺激でも反応しやすく、
「咳」「息苦しさ」「胸の圧迫感」といった症状を引き起こします。
「寒暖差によって気道が冷えると、気道粘膜が刺激され、咳や喘息発作を誘発する」
と紹介されています。
特に次のような場面で症状が出やすくなります。
- 朝、暖かい布団から出た直後
- 夜の冷え込みや明け方の気温低下
- 外出から冷房の効いた建物に入ったとき
- 入浴後や寝る前に外気に触れたとき
このように、“気温のアップダウン”が繰り返されることで気道が過敏になり、
発作が起こりやすい状態になります。
咳が長引く「咳喘息」にも注意を
寒暖差による影響は、一般的な喘息だけでなく、咳喘息(せきぜんそく)にも見られます。
これは、喘鳴(ヒューヒュー音)や強い息苦しさがない代わりに、
「咳だけが何週間も続く」タイプの喘息です。
風邪が治っても咳が止まらない場合、
「咳喘息」や「寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)」が関係しているケースもあります。
このような症状を放置すると、本格的な喘息へ進行するリスクもあります。
「たかが咳」と思わず、早めの受診が大切です。
寒暖差による喘息悪化を防ぐための生活習慣
喘息の悪化を防ぐには、日常のちょっとした工夫が大切です。
① 気温差を減らす工夫を
- 朝晩の冷え込みが強い日は、マフラーやスカーフで口元を覆う
- 冷房・暖房の設定温度を急に変えず、体感温度差を5℃以内に保つ
- 入浴後や就寝時には体を冷やさない
② 室内環境を整える
- 加湿器を使って湿度を50〜60%程度に保つ
- 空気清浄機で花粉やハウスダストを除去
- 喘息を悪化させる“ダニ・カビ”の繁殖を防ぐため、定期的な掃除を
③ 規則正しい生活と適度な運動を
体力の低下や睡眠不足も、発作を起こしやすくします。
軽いストレッチやウォーキングなど、息が上がらない程度の運動を継続することが大切です。
咳を“放置しない”ことが大切
多くの人が「風邪が長引いているだけ」と思い込み、
医療機関を受診するまでに数週間〜数か月かかるケースがあります。
しかし喘息は、早期治療でコントロールできる病気です。
逆に放置すると、発作の頻度や重症度が増し、
日常生活に支障をきたすほど悪化することもあります。
「夜中に咳で目が覚める」「冷たい空気でむせる」「階段を上ると苦しい」
そんなサインがある方は、ぜひ一度ご相談ください。
執筆者情報
尾上林太郎(おのえ りんたろう)
医療法人社団南州会 理事/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
2013年に聖マリアンナ医科大学卒業後、同大学病院研修医を経て、2015年同大学内科学(呼吸器)大学院入学 呼吸器内科診療助手、2019年同大学院修了 同大学病院呼吸器内科学助教、2024年5月横浜フロントクリニック 院長就任(現職)
【保有資格】
- 医学博士
- 日本内科学会認定内科医
- 日本呼吸器学会呼吸器専門医
- 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
- 難病法における難病指定医(呼吸器)
- 緩和ケア研修会修了医
- アレルギー舌下免疫療法適正使用管理体制に基づく講義の受講・試験の修了医
- オンライン診療研修修了医師
井上 哲兵(いのうえ てっぺい) 医師
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
2009年に聖マリアンナ医科大学医学部を卒業後、同大学の研修医・呼吸器内科を経て、国立病院機構静岡医療センターにて呼吸器診療の研鑽を積む。
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。
同年8月に三浦メディカルクリニックを開院し、以降も以下のクリニックを展開。
- 横浜フロントクリニック(2024年5月開院)
- 東京品川フロントクリニック(2026年1月5日開院)
- 目黒区分院(2026年9月開院予定)
- 新宿区分院(2027年12月開院予定)
【保有資格・所属学会】
緩和ケア研修会修了医
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
日本医師会認定産業医
厚生労働省認定 臨床研修指導医
身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
難病指定医(呼吸器)