- 10月 26, 2025
こんな時どうする? 睡眠時無呼吸症候群 Q&A ~ 呼吸器専門医が答えます ~後編
前編では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因や代表的な症状、そして放置した場合に高まる健康リスクについて解説しました。今回はその後編として、実際に行われる検査方法や治療法の選択肢、また治療を始めた後の効果や経過について、呼吸器専門医の視点からわかりやすく解説します。
「治療って大変?」「どれくらいで良くなるの?」
そんな疑問にお答えしながら、より良い睡眠を取り戻すための具体的なステップをご紹介します。
すでに検査を受けた方、あるいは治療を検討されている方にも役立つ内容です。
【Q4】睡眠時無呼吸症候群の検査はどうやって行いますか?
睡眠時無呼吸症候群の検査は、主に次の2段階で行われます。
① 自宅でできる「簡易検査」
自宅でセンサーを装着し、睡眠中の呼吸状態、酸素飽和度、いびきなどを測定します。
・自宅でできるので費用負担が少なく、時間的拘束もない
・無呼吸の傾向があるかどうかを確認するスクリーニング目的だが、無呼吸低換気指数(AHI)が40以上であれば精密検査を行うことなく、CPAP治療に進むことができる。② 自宅もしくは医療機関で行う「精密検査」
睡眠中の脳波、呼吸運動、体位などを詳細に記録する検査(PSG:終夜睡眠ポリグラフ検査)を行います。
・無呼吸の重症度をより正確に判定することができる。
・医療機関によって入院か在宅で行うか選択できるが、当法人は全てのクリニックで在宅検査で行うことができる体制を整えている。在宅で行うことで費用負担を抑えることができ、時間的拘束も最小限にとどめることができる。
・無呼吸低換気指数(AHI)が20以上でCPAP治療に進むことができる。
簡易検査でAHIが40未満の場合は、精密検査を行うという流れになります。
【Q5】治療方法にはどんなものがありますか?
症状や重症度によって治療法は異なります。主な治療法は以下のとおりです。
CPAP(持続陽圧呼吸療法)
鼻マスクを通じて気道に空気を送り込み、圧をかけることで気道の閉塞を防ぐ。
中等症〜重症例で第一選択となる治療。基本的にこの治療を行うことが多い。口腔内装置(マウスピース)
下顎を前に出す構造により、気道を広げるマウスピース治療。
軽症〜中等症例で検討される。治療効果に個人差が大きい。歯科医の先生と連携して作成することになる。作成する際には検査を行なった医療機関からの紹介状が必要になる。生活習慣の改善
減量、禁煙、飲酒量を減らす、横向きで寝るなど。
すべての患者に共通して重要。
【Q6】治療を始めたら、どれくらいで効果が出ますか?
効果は早期に現れることが多いです。私見ですが超重症の方(AHI80から100以上)はCPAP開始翌日から体調の変化を感じることが多いように思います。AHIが20そこそこの方は慣れるまで時間を要することが多く、治療効果を感じるまでに数ヶ月かかることがあります。
・日中の眠気が軽減する
・朝の頭痛や倦怠感が改善する
・集中力が戻りやすくなる・血圧が安定しやすくなる。
・気分の安定につながるまた、治療は「続けること」が最も重要です。
同時に、体重管理や飲酒制限などの生活習慣の工夫が改善を支えます。
【Q7】どの科に行けば良いですか?
睡眠時無呼吸症候群に対応できる診療科は以下です。
・呼吸器内科
・耳鼻咽喉科
・睡眠専門外来横浜フロントクリニックでは、呼吸器専門医が診療を担当し、
自宅でできる簡易検査・精密検査にも対応しています。
【まとめ】
睡眠時無呼吸症候群は、「ただのいびき」ではなく、生活の質と健康に影響する疾患です。
しかし、早期に発見し治療することで、睡眠の質は大きく改善できます。
「いびきが気になる」「日中の眠気が強い」「寝ても疲れが取れない」
そんなサインを感じたら、早めの相談がおすすめです。
横浜フロントクリニックでは、呼吸器専門医が検査から治療までサポートしています。
まずはお気軽にお問い合わせください。
執筆者情報
尾上林太郎(おのえ りんたろう)
医療法人社団南州会 理事/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
2013年に聖マリアンナ医科大学卒業後、同大学病院研修医を経て、2015年同大学内科学(呼吸器)大学院入学 呼吸器内科診療助手、2019年同大学院修了 同大学病院呼吸器内科学助教、2024年5月横浜フロントクリニック 院長就任(現職)
【保有資格】
- 医学博士
- 日本内科学会認定内科医
- 日本呼吸器学会呼吸器専門医
- 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
- 難病法における難病指定医(呼吸器)
- 緩和ケア研修会修了医
- アレルギー舌下免疫療法適正使用管理体制に基づく講義の受講・試験の修了医
- オンライン診療研修修了医師
井上 哲兵(いのうえ てっぺい) 医師
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
2009年に聖マリアンナ医科大学医学部を卒業後、同大学の研修医・呼吸器内科を経て、国立病院機構静岡医療センターにて呼吸器診療の研鑽を積む。
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。
同年8月に三浦メディカルクリニックを開院し、以降も以下のクリニックを展開。
- 横浜フロントクリニック(2024年5月開院)
- 東京品川フロントクリニック(2026年1月5日開院)
- 目黒区分院(2026年9月開院予定)
- 新宿区分院(2027年12月開院予定)
【保有資格・所属学会】
- 医学博士
- 日本内科学会認定内科医
- 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
- 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
- 日本医師会認定産業医
- 厚生労働省認定 臨床研修指導医
- 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
- 難病指定医(呼吸器)
- 緩和ケア研修会修了医