- 7月 31, 2025
- 8月 9, 2025
マンジャロを減量目的で使用するのは是か否か?
当法人では自由診療でマンジャロを減量目的で処方しております。ここ最近、マンジャロを減量目的で使用することが遺憾だ!との論調が一部のメディアで出てきたのでそれについてお答えしたいと思います。
まず前提として、そもそもマンジャロは糖尿病の薬です。健康保険を利用して投薬するには糖尿病であることが絶対条件となります。糖尿病以外のかたが使用するには全額自費で行う自由診療に該当します。
マンジャロを自由診療で使用する目的は減量目的となります。しかしながら減量目的と一概に言っても2パターンあるかと思います。
1つ目が、糖尿病ではないが、BMI25以上の肥満で痩せた方が健康にいいのが明らかな場合。
2つ目が、糖尿病でもないし、BMIも25未満ではあるが、美容目的で痩せたい場合。
まず、1つ目ですが、痩せることで高血圧や脂質異常、睡眠時無呼吸などの疾患の治癒が見込めることも多く、自費で一時的な費用はかかるものの、長い目で見れば毎日飲む薬が無くなり、結果的に生涯にかかる医療費が安くなるという可能性があります。肥満が原因の生活習慣病を持っている方は積極的に検討頂いた方がいいのかな?と個人的には思います。また、持病がなくとも痩せることは将来の健康リスクを大幅に下げることは明白であり、肥満で痩せたいけどなかなか上手くいかない!って人もぜひご検討頂きたいと考えます。
2つ目は美容目的での使用です。これは医師の管理下で過度な減量にならないように、副作用に注意しながら適切に使用するのであれば問題になるようなリスクは大幅に下げることが可能です。メディアでは薬物依存にならないのか?と言った論調でしたが、この薬は身体的依存を形成する事はありません。問題となるのは精神的依存となりますが、そもそも、拒食症などのいわゆる病的に痩せている人には当法人は処方することはありません。当法人は対面診察を行っており、過度な減量を未然に防ぐように努めています。基準に抵触するようならば処方をお断りしております。当法人以外の内科を標榜しているクリニックさんも、拒食症になりうるレベルの方に処方しているという話は聞いたことがありません。
医師の管理下で適切に使用すれば安全性は高いと考えられますが、なぜこのような論調が出てくるかというと、何にしてもではありますが、新しい手段・方法が出てくると、決まって何らかのマイナス発信をする方がいるということに尽きるかなと考えます。美容整形が受け入れられつつあるように、この治療法も将来的にはスタンダードになるかと思います。食事療法・運動療法を継続することが基本であるなんて百も承知しています。でも継続が一番難しいのも百も承知です。薬の力を借りながらではあるものの、将来の病気のリスクを下げようとすること、理想の自分になろうとすること、それに近づく努力をすることの何がいけないのか理解に苦しみます。確かにマンジャロは安全性が高い薬の一つですが、リスクが0な訳ではありません。しかし、それは他の保険診療・自由診療も同じことです。風邪薬だって、高血圧薬だって副作用はあります。美容整形も脂肪吸引もリスクは0ではありません。AGA治療も同様です。ED治療、市販されているサプリメント、漢方でも同じです。治療を受ける人がそのリスクを理解し納得して治療を受けられるのであれば周囲がとやかく言う問題では無いのです。本人が、担当の医師と相談しながら理想の自分を目指せばいいのではと思います。
ちなみに糖尿病治療薬を痩せ薬として使うなんて!って思った人いますよね。日本では、マンジャロと中身は全く同じで名前だけ変わったゼップバウンドという薬が、抗肥満薬として2025年に保険適応になっています。保険適応で使うには、まだまだ適応基準が厳しく、一般的な痩身治療として使うことは現状では出来なくなっています。尚、米国では2023年に肥満症の適応を取得しています。
そしてマンジャロの生産流通は改善しており、自費診療に使用したら糖尿病治療患者に行き渡らないということも、もはやありません。
また、ずっと続けないとリバウンドするのでは?とのご質問をよくよく頂きますが、確かに、目標体重に達してすぐに中断するとリバウンドしやすい方はいらっしゃいます。中断に持っていくにはコツがありますので当法人にご受診の際は看護師や医師に聞いてみてくださいね。
- 自分だけでの力では減量がなかなか上手く行かない方
- 脂肪吸引のような手術は怖いというような方
- 痩せてより健康になりたいと考えている方
ぜひ当院にご相談ください。
文責:医療法人社団南州会 理事長 井上哲兵
経歴
2009年聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、同大学研修医、同大学呼吸器内科、国立病院機構静岡医療センターにて研鑽を積み、2019年4月医療法人社団南州会理事長就任。同年8月三浦メディカルクリニック開院。2024年5月横浜フロントクリニック開院。
資格・役職
医学博士・日本内科学会認定内科医・日本呼吸器学会呼吸器専門医・日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
日本医師会認定産業医・厚生労働省認定臨床研修指導医・身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
難病法における難病指定医(呼吸器)・緩和ケア研修会修了医