- 12月 14, 2024
- 4月 27, 2025
GLP-1ダイエット・マンジャロダイエットの際の栄養摂取の注意事項
GLP-1ダイエットを行う際の栄養上の注意事項をまとめた論文が、Obesity2024年6月10日号に掲載されましたので共有したいと思います。これはマンジャロの発売元である米国のイーライリリー社からの研究報告です。販売元の研究報告でこの手の内容は非常に珍しいと言えます。
内容は以下の通りですが、特にお願いしたいのが、ビタミン+ミネラルのサプリメント摂取です。女性はカルシウムが不足すると将来の骨粗鬆症のリスクが上昇したり、亜鉛が欠乏すると脱毛のリスクになったりします。昨今の論文からGLP-1を使用しても体重が落ちることは良いことと言うデータが数多く報告されていますが、単純な食事制限になってしまうとバランスが崩れたダイエットになってしまうため、下記の項目を注意するようにお願いします。
・エネルギー量:体型を考慮する必要はあるが、通常は女性1200~1500kcal/日、男性1500~1800kcal/日を目指して摂取する。
・タンパク質:通常は体重1kg当たり1.5g以下が理想だが、最低1日に60~75g以上は確保するため注意が必要。推奨食品として、豆類、魚介類、赤肉、鶏肉、低脂肪乳製品、卵など。
・炭水化物:1日総エネルギー摂取量の45~65%で、添加糖は10%未満とする。全粒穀物、果物、野菜、乳製品などが推奨される。
・脂質:総摂取エネルギー量の20~35%で、飽和脂肪酸は10%未満とする。ナッツ、種子、アボカド、植物油、脂肪分の多い魚などが推奨される。
・抗肥満薬使用に伴う消化器症状を来しやすくなることがあるため、揚げ物や高脂肪食品を避ける。
・食物繊維:女性は21~25g/日、男性は30~38g/日。果物、野菜、全粒穀物などが推奨される。食事のみではこの推奨量を満たすことができない場合も多く、サプリメントの利用が望まれる。
・水分:2~3L/日を摂取。水、低カロリー飲料、低脂肪乳製品などが推奨され、カフェイン入り飲料は控えるか摂取しない。
・微量栄養素の不足が生じないように、マルチビタミンやカルシウム、ビタミンDなどのサプリメントを適宜摂取することを推奨している。
・抗肥満薬使用中の患者では栄養状態のモニタリングの必要がある。
文責:医療法人社団南州会 理事長 井上哲兵
経歴
- 2003年浅野高校卒業
- 2009年聖マリアンナ医科大学医学部卒業
- 2009年4月~2011年3月同大学病院研修医
- 2011年4月~2015年3月同大学呼吸器内科診療助手兼同大学内科(呼吸器)大学院
- 2015年4月~2018年3月同大学呼吸器内科助教
- 2018年4月~2019年3月独立行政法人国立病院機構静岡医療センター呼吸器内科医長
- 2019年4月医療法人社団南州会理事長/聖マリアンナ医科大学非常勤講師
- 2019年8月三浦メディカルクリニック院長
- 2024年5月横浜フロントクリニック開院
資格・役職
- 医学博士
- 日本内科学会認定内科医
- 日本呼吸器学会呼吸器専門医
- 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
- 日本医師会認定産業医
- 厚生労働省認定臨床研修指導医
- 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
- 難病法における難病指定医(呼吸器)
- 緩和ケア研修会修了医
- アレルギー舌下免疫療法適正使用管理体制に基づく講義の受講・試験の修了医