- 5月 24, 2025
米国では8人に1人がマンジャロを含むGLP-1の使用経験があるとの衝撃データ。なぜそこまで普及した?美容目的での投与についてどう考えるか?
マンジャロのダイエット効果は今までの薬剤より群を抜いて高い事から、流行の兆しを見せています。日本の学会等でダイエットに使用することを非とする見解も一部であるのも事実ですが、GLP-1ダイエット先進国である米国ではなんと8人に1人がマンジャロを含めたGLP-1薬を使用しているもしくは使用した経験があるという衝撃できな事実をご存知でしょうか。米国では日本に比べて肥満症の割合が高いというのも要因の一つですが、それを差し引いても高い水準にあることは言うまでもありません。なぜここまで急速に普及しているのでしょうか?それは、運動・食事療法・薬物療法の3大ダイエット方法の中の一つになっているからです。
日本ではいまだに薬物に頼る減量なんてダメだ!なんて言う『古い』考えのDr.がいる事も事実です。しかし、薬を使って痩せることの何がいけないのでしょうか?高血圧の患者さんが薬を飲むことを推奨しますよね?薬を飲まないとダメだ!って言いませんか?厳密な塩分制限をしてないのに薬を飲むなんてダメダメ!とは言いませんよね。高血圧の治療は薬を使いなさい、でも、高度肥満の患者以外は減量するにあたり、薬に頼ってはダメですの意味が分かりません。
軽度の肥満であっても本人が希望されるのであれば、禁忌がない限り積極的に行うべきだと考えます。
マンジャロダイエットを希望する患者さんは、3つのケースが存在するように思います。どのケースに該当するか、イメージしながらお読みください。
生活習慣病があり、内科的にも明らかに必要な減量の補助として使用するケース、肥満はあるが生活習慣病ではない方に使用するケース、美容目的に使用するケースがあるように思います。
1:肥満による糖尿病以外の生活習慣病(高血圧等)があり、減量を要する患者さんにダイエットの補助的に使用するケース
外来でヨクヨク経験することですが、減量することで高血圧・脂質異常・脂肪肝などの治療薬が減薬ないし不要に、CPAP治療からの離脱に繋がることがあるのです。マンジャロを使用してでも減量した方が、一時的に費用はかかるかもしれませんが、長期的にみれば割安になることだってあり得るのです。生活習慣病で減量を勧められている人などは是非検討をしてみてはいかがでしょうか。
2:肥満はあるが生活習慣病ではない方に使用するケース
いわゆる未病の状態で使用するケースです。肥満からくる生活習慣病等の発症が将来的に想定できるような方に使用します。これも1同様、自力でのダイエットが困難な方は是非検討をしてみてください。
3:明らかな肥満はなく、美容目的での減量で使用するケース
多分、このケースが最も色々な意見が出る所以だと思います。私たちも美容目的での過度なダイエットの為の使用は推奨しておらず、法人内で明確な基準を設けております。基準は世界保健機関:WHOの判定基準で普通体重(BMIが18.5以上)としており、それを下回る方は処方出来ません。
美容の為に薬を使うなんて?って思う方いますよね。美容の為に、出血や感染のリスクを伴う脂肪吸引を行うよりもマシかなって正直思います。また、安全性が不確かなサプリメントや自己輸入品などを使用するよりも余程、安全ですし、有効性は比較することすらマンジャロに失礼です。健康を損なう可能性が低い範囲で、かつ全額自費で薬を使用する分にはいいのではないでしょうか。
※参考:BMI = 体重kg ÷ (身長m)2
マンジャロは保険診療の範囲においては糖尿病患者のみに使用できる薬剤です。糖尿病が無い患者様は全額自費診療になります。
文責:医療法人社団南州会 理事長 井上哲兵
経歴
2009年聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、同大学研修医、同大学呼吸器内科、国立病院機構静岡医療センターにて研鑽を積み、2019年4月医療法人社団南州会理事長就任。同年8月三浦メディカルクリニック開院。2024年5月横浜フロントクリニック開院。
資格・役職
医学博士・日本内科学会認定内科医・日本呼吸器学会呼吸器専門医・日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
日本医師会認定産業医・厚生労働省認定臨床研修指導医・身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
難病法における難病指定医(呼吸器)・緩和ケア研修会修了医