• 5月 4, 2025
  • 5月 6, 2025

18年ぶりに改訂された肺がん検診ガイドラインについて。

久しぶりの改訂です。今回の改訂のポイントを以下にまとめています。大きく変わったポイントは、重喫煙者におけるCT検診が前回は推奨グレードI(実施しないことを推奨)にランク付けされていましたが、今回の改訂からグレードA:実施することを推奨に変更された点です。欧米ではすでにCT検診が推奨されており、その基準にやっと追いついた形になります。今後は、肺癌のリスクが極めて高い重喫煙者においては公費でのCT検診が標準になっていくものと考えられます。

また、喀痰細胞診がグレードD;利益が一才なく推奨しないにランクされたのは英断でした。喀痰細胞診の検査意義が正直乏しいと以前から指摘があり、当法人も希望がない限り勧めてはいない検査で、こちらもやっとガイドラインが追いついた形になります。今後は喀痰検査を推奨している自治体の検査内容も変更になっていくものと思います。

簡単にまとめております。ご参考にしてみてくださいね。

①重喫煙者に対する低線量CT検査 (推奨グレードA:実施することを推奨)

低線量CT検査の推奨グレードは喫煙状況により異なり、 重喫煙者 (喫煙指数600以上) においては、 推奨グレードAで対策型検診及び任意型検診として実施 (対象年齢は50-74歳、 検診間隔は1年に1回) を推奨する。

②重喫煙者以外に対する低線量CT検査 (推奨グレードI:実施しないことを推奨)

重喫煙者以外の方に対する低線量CT検査は推奨グレードIで、 対策型検診として実施しないことを推奨する。 任意型検診においては、 医療者が利益と不利益に関する適切な情報を提供したうえで、 検診受診者個人の判断に委ねる。 喫煙状況や対象年齢を遵守しない場合、 低線量CT検査の不利益は大きくなる。

③胸部X線検査 (推奨グレードA:実施することを推奨)

胸部X線検査は喫煙状況にかかわらず推奨グレードA (対象年齢は40-79歳、 検診間隔は1年に1回)。

④重喫煙者に対する胸部X線検査と喀痰細胞診併用法 (推奨グレードD:利益が一才なく、実施しない事を推奨)

重喫煙者に対する胸部X線と喀痰細胞診併用法は推奨グレードDで、 対策型検診として実施しないことを勧める。

文責:医療法人社団南州会 理事長 井上哲兵

経歴

  • 2003年浅野高校卒業
  • 2009年聖マリアンナ医科大学医学部卒業
  • 2009年4月~2011年3月同大学病院研修医
  • 2011年4月~2015年3月同大学呼吸器内科診療助手兼同大学内科(呼吸器)大学院
  • 2015年4月~2018年3月同大学呼吸器内科助教
  • 2018年4月~2019年3月独立行政法人国立病院機構静岡医療センター呼吸器内科医長
  • 2019年4月聖マリアンナ医科大学非常勤講師医療法人社団南州会理事長
  • 2019年8月三浦メディカルクリニック院長
  • 2024年5月横浜フロントクリニック開院

資格・役職

医学博士
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学会呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
日本医師会認定産業医
厚生労働省認定臨床研修指導医
身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
難病法における難病指定医(呼吸器)
緩和ケア研修会修了医
アレルギー舌下免疫療法適正使用管理体制に
基づく講義の受講・試験の修了医

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