• 3月 1, 2025
  • 4月 27, 2025

喉元過ぎれば熱さ忘れるでは困るのが喘息という病気。服薬を継続するコツ。

広辞苑によれば喉元過ぎれば熱さを忘れるとは苦しかったことも、過ぎ去れば全く忘れてしまうことのたとえとされています。

喘息の患者さんを診療しておりますと、本当にこういう方が多いと言うのが実感できます。

喘息発作でアレだけ苦しんでいたのに、治療を開始して症状が改善すると治療が面倒になりやめてしまう。→また苦しくなって、受診する。→治療して改善。→面倒になり自己中断→また苦しくなり治療再開

いくら継続するようにお伝えしても自己中断してしまう方がいらっるのが現実です。

服薬を継続するコツ

具体的に服薬を継続するコツや工夫についてお話しします。

薬を服用することを日常に落とし込むことが必要になっていきます。

一つは吸入するタイミングです。私のクリニックの患者さんがよく行っているのは、吸入器を洗面台に置いて歯磨きや顔を洗う際に、吸入するというものです。歯磨きは子どもの頃から習慣化されていて、朝と夜の2回、ほとんどの人が忘れずにしています。ぜんそくの吸入も歯磨きと同じくらい日常の中に落とし込めたら、もう成功したも同然です。ほかにも、「吸入器を食器棚に置いて食事の前に吸入する」、また、「ベッドや枕元に置いて朝起きたらすぐ吸入する」など、毎日行う行動に、「吸入する」という行動を結びつけることは、吸入を習慣化するのに欠かせない工夫です。

とはいえ、人それぞれに生活スタイルがあります。仕事で朝が早い人は、朝の時間に吸入することは手間に感じやすくなります。吸入の仕方も雑になりがちです。また、子どもが小さかったり、家族のお弁当を作らないといけなかったりする人にとっては、朝はまさにバタバタした時間帯です。朝食を食べる前に吸入しようと食卓に置いていたとしても、「結局、吸入する時間がなかった!」なんてこともあり得ます。そういう人は、無理して朝に吸おうとせず、お昼に吸入しても構いません。各自の生活にあった服用タイミングを考えることが大切です。自分のライフスタイルに合わせて、吸いやすい時間を設定するのです。

喘息治療は完治を目指すものではなく、上手く付き合っていく疾患です。吸入をしっかりと続けて頂くことが、10年後、20年後の自分の生活を守ることにつながるのです。自己中断を繰り返していくと、喘息症状が年々重くなり、辛い未来を迎えることになるのです。目先のめんどくささが優先されて将来を棒に振るようなことがないように、毎日吸入することで、症状をきちんとコントロールし、自分の叶えたい夢やチャレンジしたい目標に向かって取り組み、自分が思い描く将来に少しでも近づけるように。そのことに希望を持って治療び取り組んでほしいと思います。一緒に頑張りましょう!

文責:医療法人社団南州会 理事長 井上哲兵

経歴

  • 2003年浅野高校卒業
  • 2009年聖マリアンナ医科大学医学部卒業
  • 2009年4月~2011年3月同大学病院研修医
  • 2011年4月~2015年3月同大学呼吸器内科診療助手兼同大学内科(呼吸器)大学院
  • 2015年4月~2018年3月同大学呼吸器内科助教
  • 2018年4月~2019年3月独立行政法人国立病院機構静岡医療センター呼吸器内科医長
  • 2019年4月医療法人社団南州会理事長/聖マリアンナ医科大学非常勤講師
  • 2019年8月三浦メディカルクリニック院長
  • 2024年5月横浜フロントクリニック開院

資格・役職

  • 医学博士
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本呼吸器学会呼吸器専門医
  • 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • 厚生労働省認定臨床研修指導医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
  • 難病法における難病指定医(呼吸器)
  • 緩和ケア研修会修了医
  • アレルギー舌下免疫療法適正使用管理体制に基づく講義の受講・試験の修了医
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